今日も午後から喜楽さんとの自主稽古でした。
若い人は覚えが早く 巧い下手は別として完璧に覚えていますね。

そこへ行くと私は、本当に覚えが悪くなりました・・・。


覚えている台詞も出て来なくなってしまいます。

覚えていない訳ではないのですが ある一瞬で ス~と消えていくのです。

 

これは怖いですね、ここ何カ月間のステイホームでのだらけた気持ち。
常に舞台の緊張感にさらされていないと この集中力が
持たなくなって来ています。


そこへ行くと ご年配の座頭の方たちはやはり凄いと思います。

いくら慣れておられるとは云え 毎月、毎月 違うお役の膨大な台詞を
覚えられるのですから・・・。

 

私も歌舞伎の台詞なら まだ耳にありますが、新作物などはそれこそ、
死にもの狂いになります。


いつかの「海神別荘」の代役 沖の僧都などは 今ではもうとても無理です(笑)

たった一言の台詞しかなかった「桜の森の満開の下」も無理です。

 

実は、普段滅多に家では台詞の稽古をしない私が、声を出して真剣にしたのが

この二つの演目なのです。

 

さて、その意味は??

必然的に何10回、何100回と聞かされた人間がいるという訳です(笑)

そこまで聞かされると 素人でも覚えてしまいます。

 

しかも素人(=家人)の厄介なところは、真剣に覚える気がないのに

耳だけで覚えてしまうこと。

フレーズフレーズを覚えてしまっておりますので、時々思い出したように

その悪夢のような台詞を呟くのです。

中途半端に。

わざとやろ!


普段でしたら、「違う!」とか言いながら、訂正したり、私も忘れてますので

「なんやっけ?」とか言いながら 適当に流しているのですが・・・

 

今、必死のパッチである演目と闘っている時に 不意に「桜の森」や

「海神」の台詞を言われますと焦ります(笑)

 

混ざる!!

 

しかも、困った事に と云うよりもこれは私の自業自得なのですが、

今回の一つ目の台詞も 家で結構声を出して 稽古してしまったのです。

と云うよりも 覚えられなかったので 台本を渡して付けてもらいました。

 

やってしまった・・・・

また中途半端に 覚えてしまった(涙)

 

中途半端につぶやくんです。微妙な 微妙なラインで間違えて。

覚えるなら 完璧に覚えてくれ・・・と云いたくなるくらいに。

その度に訂正をしてます(笑) なんの試練や・・・

わざとやろ!


何をしていても 予告なく一瞬で役に入ってしまう私への仕返しでしょうか。

 

 

それにしても、猿之助さんや香川(中車)さん 愛之助さん 松也さん等々、
「半沢直樹」のあの難しい 膨大な台詞をよくぞこなされると 感心致します。

 

それに比べれば、今回の私など・・・と、云いたいのですが(笑)
今では気分は沖の僧都の時と あんまり変わりません(笑)


まもなく本番です。2日間演目は同じですが 配役が違っていて 

初日はまだ私も少しだけの出番です。

 

先に違う配役の方の演技を見られるのは 少しだけラッキーです。

が、反面、先に終わってくれる方が 楽な気もしますが・・・

この辺は複雑ですね。

 

とっとと本番が来て欲しい様な、まだ来てもらっては困るような。

うだうだ言いながらも やっぱり歌舞伎に関わる事が出来るのは

嬉しい事なのでしょうか。