今日は8月23日。


1991年8月23日、まさに29年前の今日、旧国立競技場に於きまして
「第3回 世界陸上競技選手権東京大会」が開催されました。


そしてその開会式のセレモニーに 私たちおもだかや一門が
演者として参加させて頂きました。


開会式の演出はもちろん猿翁旦那、振り付けは右團次さんのお父様、飛鳥峯王先生。
音楽は坂本龍一さん作曲の「大地と精霊の伝説」と云うモチーフで
埼玉栄高校の学生さんたち3000人と一緒に彩を添えました。

 

お能からは観世栄夫さん 狂言からは大蔵流狂言師の山本東次郎さん

歌舞伎からは、赤獅子に錦之助(当時信二郎)さん 右團次(当時右近)さん 猿弥さん
黒獅子に弥十郎さん 猿十郎さん そして私、猿三郎(当時延夫)

 


8月に入りましてから、軽井沢の旦那のお稽古場に集合して
暑い中、みんなでお稽古しましたのも懐かしいですね。

 

まだ大きいお稽古場天翔館もなく、バラックのようなお稽古場でした(笑)

そこで世界大会の開会式のお稽古をしていたのですから、
そのギャップの大きさに驚きます(笑)


今年もし、野村萬斎さん演出の東京オリンピックの開会式が
普通通りに行われて居たら どのような開会式だったのでしょうね。
見られなかったのは本当に残念です。

 


実は、この開会式に出演するのは獅子の6人と お狂言の田植歌に出演する
一門の立ち役だけの予定だったのですが、前日のリハーサルの時に
開会前に競技場側の呼び物とするものに ちょっとアクシデントがあり
テストが中止になりました。


猿翁旦那に一抹の不安がよぎり、もし明日もうまく行かなかったら
映像として何か撮影するものがあるのかどうか・・・。

 

急遽、旦那の助手でカバン持ちをしていた笑三郎さんに白羽の矢が立ち
これも急遽「ヤマトタケル」の大詰めの兄姫の衣裳とかつらを取り寄せられ
スタンバイしておくようにとのお達しでした。

 

そして当日、案の定 開会式の音楽と同時に予定していた
競技場外からパフォーマーたちがパラグライダーでおりて来て
風船や花火が上がると云う競技場側の演出は

雨と強風のために、パラグライダーが流されてしまい競技場まで

たどり着く事ができませんでした。

 

さらに花火も雨と強風のために中止。


結局、聖火が灯り その聖火台から光の女神が降りて来てグランドを見守ると云う演出に。


リハーサルもなしですので、笑三郎さんの女神しかテレビも映すものが無く、

ひたすら女神を、アップでおいます。

どかーんと、画面には笑三郎さんが映し出されます。


結局、暑い熱い、8月にひと月みっちりとお稽古した私たちより

前の日に決定した笑三郎さんが一番長く映されておりました(笑)

これ平然と、聖火台から階段を降りて来ておりますが、開始直後はかなり雨が降っていて

怖かったそうです。 


私たちの獅子の演技の時は、雨も止み 暑くもなくちょうどよかったですね(笑)

 

今の気温なら あの衣裳かつらを着ての演技は熱中症になっていたかも知れませんね。

 


いつも旦那が、人は信用できるけど、奇をてらった演出や 自然に左右される花火等は
いつどのような事になるか・・・。
笑三郎を用意しておいてよかった・・・と 胸をなでおろしておられました。


ちなみにこの競技大会の折に男子200メートルでマイケル・ジョンソンが新記録 

同じく男子100メートルでマール・ルイスが 当時の世界最高タイム9秒86で

金メダルに輝きました(笑)

 

しかしこれらも今では、どんどん世界記録が塗り替えられておりますね。

これも熱い思い出です。


さて暑い熱い8月シリーズも、今日の暑さの終了と共に終わりです。


またいつか熱い勉強会や暑い夏を振り返る時が来るまで・・・。