間もなく土用の丑の日ですから 昨日から色んなテレビ番組やCMでも 

うなぎのテーマが多く なんかうなぎに追い回されておりまして 
うなぎが頭から離れません(笑)


逃げ鰻に執拗に追い回されてます。

 

「すっかりうなぎ脳になってるな」と云われましたが、なんやそれ???

いえ、なんやと云いながらも ちょっと納得してしまいました。

 

ということで、今日のブログ うなぎ続きのお話です(笑)

 

歌舞伎の世界には 初日と千穐楽の他 中日と云うのがございます。

もっとも皆さんももう、先刻ご承知でしょうが、この中日には
風習がございます。


立ち回りや舞台上で 個人的な用事をしてくれたお弟子さんや名題下さんに
中日にはお礼として ご祝儀を渡したりするのですが、大幹部さんたちは
私たち名題にも ご祝儀としてうなぎ券を下さる事が多いのです。


昔は、一律に中日にうなぎのお重が届いたりしていたのですが、
今は、舞台が忙しいと食べる時間もまちまちなので、好きな時に
個人的に注文をして食べられるように うなぎ券を下さる事が多くなりました。

 

猿翁旦那の7月の奮闘公演など 出演者全員が忙しいお芝居の時、
出演者全員にうなぎ券を下さいました。

もちろん 衣裳さんや床山さんにも・・・。

 

玉三郎さんも道成寺や阿古屋などに出演させて頂くと必ず 
所化の皆さんや供侍などのお役の人に うなぎ券を下さいました。


それもほとんどが築地、宮川本廛のうなぎ券が多かったですね(笑)



実は私 こんなに「うなぎ脳」になっておりますが、

もともとは、それほどうなぎは好きではありませんでした。


関西に居るときも うなぎは食べてはおりましたが、

個人的には、もう一つ・・・好きじゃない?と云う感じだったのです。

ですが築地の宮川や 浅草の小柳のうなぎを食べてからは、
本当に美味しい!と思うようになりました。


以前にも上方と江戸でのうなぎの料理の仕方の違いを 
書かせていた事がありますが 上方の商人の腹をわって話す意味の「腹開き」、
対して武士社会の切腹の連想を嫌がった江戸の「背開き」。

 

また調理法も上方と江戸は違いますね。

もちろん好みもありますが私は断然 江戸派です(笑)


ひらき方ではおそらく味はそう大きく変わらないでしょうが、

調理法は随分と味に違いが生まれます。


こればかりは、上方育ちでも江戸派です!(笑)


家人も大阪にいるときは全く食べる事のできなかったうなぎを

宮川で克服しました(笑)

確か、中日で頂いたうなぎ(券)です。


関西の方、ごめんなさい。

あくまでも好みの問題だと思ってくださいね。



今では上方でも江戸の調理法で食べさせてくれるうなぎ屋さんも
多くなったようですが、私の若い頃は 大阪ではほとんど
東京の調理法のうなぎは食べられなかったですね。

 


歌舞伎の世界で出番をとちったり、台詞を大きく間違えたりなどの
アクシデントの時は お詫びとして 小さいお詫びはコーヒー券

(本来は蕎麦なのですが・・・) 大きいお詫びはうなぎ券と分かれておりました(笑)

 

請求ではありませんが、なんかやらかすと周りが
「これはうなぎだなぁ~。」 なんて冷やかすのも常でした(笑)

 

 

また、玉三郎さんの演目に出演させて頂いて 大方の予想がつきますと
中日あたりを期待なぞしたりして・・・(笑)


もちろん私も、洒落でお大尽のお役をさせて頂いた時なんぞ
太鼓持ちや仲居さんのお役の人達に うなぎ券を配った事もございます。

お大尽ですから(笑)

 

自分でお金を払って食べるのは当たり前ですが、
思いがけなくうなぎ券を頂くと 嬉しいものです。


最後にひとつ あるエピソードを・・・。


私もまだ名題下だった頃の暑い7月の歌舞伎座公演 
ある名題下さんが猿翁旦那から頂いたうなぎ券のうな重を注文して
おみやにして 持って帰る筈が自分の化粧前の下に置いたまま
忘れて帰ってしまったのです。

 

うちでは「お父さん うなぎは?」と ご家族が・・・、

「あ!」と その時に思い出したそうですが 時すでに遅し。


昔の歌舞伎座 熱帯夜の1日越しのうな重が 次の日に食べられる訳もなく
泣く泣く廃棄処分に・・・。

私たちも次の日に聞いて 笑うに笑えない悲惨な出来事でした(笑)

 

笑いましたけどね。