2016年から昨年の2019年までの4年間 8月歌舞伎座納涼公演で
お馴染みとなりました『東海道中膝栗毛 弥次喜多』

 

1回目の上演の際、劇中劇としてドタバタの『吉野山』がございました。


あの印象が強いかもしれませんが、今年の8月の『吉野山』はドタバタではありません 

念のために・・・(笑)

 


ドタバタと申しますのは、喜劇の言葉で 色んな事が起こり 整然とはしていない
という意味でドタバタ喜劇と呼ばれております。

 

現在は歌舞伎役者が劇中劇として ドタバタ喜劇を演じておりますが、
以前は喜劇俳優が歌舞伎を演じて笑いを取っておりました。

 

ザ・ドリフターズの『8時だよ!全員集合』などでも歌舞伎をよく
取り入れられておりましたね。

歌舞伎は真面目にやればやるほど ひとつ狂いますと大きな笑いを誘います。



こんなお話がございます。

以前にも書きましたが まだ、楽屋モニターなどない頃のお話で、
座頭などの出番はお弟子さんが舞台を見ていて きっかけを教えておりました。

 

ある時、由良之助役の座頭のお弟子さんが 『仮名手本忠臣蔵』の四段目で、
主人の大星由良之助の出のきっかけを 弟弟子に「塩冶判官が登場したら教えるように」と
伝えました。 

 

そのお弟子さん どこをどう聞き間違えたのか?
「今、塩冶判官が腹を突きました。」と 由良之助の出のきっかけを伝えたのです。

 

驚いたのは由良之助役の座頭、ゆっくり支度をして間に合うと思っていたきっかけが
今となっております。急いで支度をして花道へ行って 舞台へ出るまで10分くらいはかかるでしょうか?

 

舞台上では判官が腹をついたまま 待っております。 義太夫も幾度も繋いでおります。

ツンツンツンツン「廊下の襖押し開けて 駆け来る大星 由良之助~」

 

ツンツンツンツン~ ~ これを繰り返すばかり・・・(笑) 

さすがにお客さんもザワザワ・・・。


やっと花道に登場した由良之助、そこへ判官の台詞 「おお !由良之助か 待ちかねたぞ!」~と、
これでお客さん ドッと沸いたとか・・・(笑)


真面目にやればやるほど面白いと云う典型的なものですね(笑)

 

これに目を付けた菊田一夫さんが書かれた脚本が喜劇『雲の上団五郎一座』

これは、歌舞伎の音羽屋「尾上」を「雲の上」とし
成田屋の「團十郎」を「団五郎」と もじっております(笑)


昔東京宝塚劇場で、歳忘れと申しますと 何年もこの『雲の上団五郎一座』が

12月に上演されておりました。

 

古くは榎本健一(エノケン)さんが座頭役でした。

 

1973年(昭和48年)12月にも『続・雲の上団五郎一座』として
フランキー・堺さんが座頭で 他に坂本九さん 白木みのるさん
宮城まり子さん 益田キートンさん 芦屋雁之助さんなどでこの演目を
上演されておりました。

 


その時の映像が先日の8mmの発掘で出て参りました(笑)

ちょうど劇中劇『助六』の場面で 舞台稽古の様子です。

 

 



 

フランキー・堺さんの助六 坂本九さんの揚巻 白木みのるさんの髭の意休。

父冠十郎が歌舞伎指導と後見を勤めております。

 

この時私は父の助手としてこの公演に携わっておりまして
この舞台稽古の撮影をしましたのは私です(笑)

 

3分くらいあるのですが、このブログで動画を掲載できるのは1分まで・・・(笑)


一部だけですが、これも貴重な映像だと思います。

舞台におられる方、ほとんどの方が鬼籍に入られておられるのは
感慨深いですね。