今はまだ、旅行の出来ない日々がつづきますが、私がよく参ります伊豆に
大室山と云うかっては噴火口であった山がございます。
私のブログの表紙背景になっている山ですね(笑)
ここの一角に岩長姫(石長比売)だけを祀る 浅間神社がございます。
全国の浅間神社は、妹の木花之佐久夜毘売(このはなさくやびめ)と共に
祀られているそうですが、岩長姫だけを祀る神社の数は少ないそうです。
ここの大室山ではお天気のいい日には富士山(木花之佐久夜毘売)が
とても綺麗に見えるのですが、ここで富士山を褒めると岩長姫が気を悪くして
お天気が崩れるとか・・・。
これを題材に致しました『佐久夜』という演目を2001年8月24~26日の
3日間だけ 東海道400年祭と云うイベントで場所は
静岡県多目的ホールであるグランシップ静岡、大ホール”海” で上演されました。
岩長姫(石長比売)は 妹の木花之佐久夜毘売とともに天孫邇邇芸命(ににぎ)の元に嫁ぎますが、
岩長姫は醜かったことから父の元に送り返されました。
父の大山津見神はそれを怒り、石長比売を差し上げたのは天孫が岩のように永遠のものとなるように、
木花之佐久夜毘売を差し上げたのは天孫が花のように繁栄するようにと
誓約を立てたからであることを教え、石長比売を送り返したことで天孫の寿命が短くなるだろう
と告げたという日本神話によるものをお芝居にしたものです。
ニニギノ尊・・・市川右近(右團次)
佐久夜姫・・・市川笑也
大山津見・・・市川猿弥
岩長姫・・・市川春猿(河合雪之丞)
この作品でちょっと変わっていたのは、朴保(パク・ポー)さんによる
パンソリという朝鮮の伝統民族芸能が使用されている事です。
ブリタニカ国際大百科事典のコトバンクには、
「パンソリとは朝鮮の代表的な民族芸能の一つ。
日本の浄瑠璃に近く,物語に節をつけてうたう語り物音楽で
唱劇または唱楽劇歌とも申します。
唱夫すなわち広大 (クワンデ) 1人が右手に扇子を持ち,
太鼓手1人の伴奏で歌と白 (せりふ) と科 (しぐさ) を
織り交ぜて長い物語を劇的に語るものです。
パンソリの語源は明らかでないが,パン (人の集るところ,または舞台) のソリ (歌) の意で,
広大がうたう歌 (広大ソリ) の淵源は新羅の花郎道にさかのぼる、とございます。
たった3日間だけの公演でしたが、8月に入ってから軽井沢でお稽古に入り
朴保(パク・ポー)さんの独特の節で唄われるパンソリ、
お天気のいい今日 そんな事を思い出してしまいました。