女優の宮城まり子さんがお亡くなりになられました。
享年93歳
女優さんと云うより今では『ねむの木学園』の学園長さんでしようか?
朝のテレビ小説『スカーレット』の前の放送の『なつぞら』
この番組で主人公のなっちゃん(広瀬すずさん)が戦後生き別れていた
兄を探すために新宿をウロウロしていて煙かすみ(戸田恵子さん)の
出演するクラブメランコリーに来た時、唄っていた曲。
『ガード下の靴磨き』
この曲が宮城まり子さんの曲で1955年(昭和30年)に
発売された曲でした。
私の初舞台は1957年(昭和32年)の宝塚大劇場での
『無法松の一生』でしたが、実は子供の頃にこの曲で父からよく
お芝居のお稽古をさせられていたのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
紅い夕陽が ガードを染めて ビルの向こうに沈んだら
街にゃネオンの花が咲く おいら貧しい 靴磨き
あぁ~ 夜になっても 帰れない
「ね おじさん みがかせておくれよ ほら まだこれっぽっちさ
てんでしけてんだ え? お父さん 死んじゃった・・・
お母さん 病気なんだ・・・。」 以下略
(ガード下の靴磨きより)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
この曲に合わせて 父がパントマイム風の動きをつけ、
台詞はこのまま、云わされました(笑)
私が5つか6つくらいでしたかね?
それをどうしてこんなに克明に覚えているのか・・・
この後1963年(昭和38年)2月の梅田コマ劇場
私は小学校の高学年くらいの時でしたか、
中村竹弥さんと 江戸小唄市丸さんのお芝居の舞踊劇に出た時
時代劇でしたが、股旅もので旅烏のやくざ者に
私が泣いている所を聞かれ
「はは~ん おとう(父)に叱られたな?」
「おとうなんか いねえや!」
「なら おっかあに叱られたんだな?」
「おっ母は おっ母は今朝 村のおじさんたちが
墓の下に埋めちまった~」
「それは悪い事を聞いちまったな?」
「おとうはどうしたんだい?」
「旅烏の竹次郎ってやくざに 斬られちまったい!」
「え? そんなら俺が・・・。」
と云うような内容で
ガード下の靴磨きの設定と雰囲気がよく似ていて、
私が舞台に出る前に「あのお稽古を思い出して・・・」と
父によく云われました(笑)
それゆえに、本当によく覚えております。
『なつぞら』を見ている時 思いがけなくこの曲が流れ
思わず涙ぐんでしまいました。
父は宮城まり子さんともよくお芝居でご一緒しており
私も劇場にて何度かお会いした事がございます。
養護施設『ねむの木学園』を起ち上げられ
福祉にとても心を配られておられた事も
子供心に存じておりました。
宮城まり子さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。