今日のブログは、だいぶネタバレが入っております。
ご注意くださいませ。(笑)


お芝居の作り方 見せ方としまして、繰り返し
と云うものがございます。

例えば『幸助餅』で、相撲にはまり込んだために、
身代をつぶした幸助。

三つ扇屋女将お柳(萬次郎さん)から妹お袖(児太郎さん)の
身を売った事にして 三十両と云う金を借り その再起を誓いながら、
その女将の前で三つ扇屋帳場の平兵衛(萬太郎さん)と 
相撲の話になると 我を忘れて舞上がって「雷関の勝ち相撲に
三百両と云う金を土俵に投げた!」と云う話を 自慢げにしてしまいます。

女将から再度 釘を刺された後に雷(中車さん)と再会 
結局、妹を売った金は・・・。(笑)

そしてその後の雷との経緯も・・・。

お客様は、ここまでのお話 もう知っている訳ですね。(笑)



二幕に入り、相撲から手を引いた幸助餅がやっと商が
軌道に乗って来たと、喜んでいるとさらに 芸者秀ゆう(笑也さん)が
大坂一の商人 天満屋が幸助の後押しをしてくれる
と云う話を持って参ります。

さらに商売が上向きの様相が・・・。


そこへ私、安吉が町内の寄付を頼みに来ます。
ここで、勧進相撲の寄付だと知れ 幸助の心情が試される訳ですね。(笑)


一幕ではズルズルと 泥沼にはまった幸助。

ここではきっぱりと断った幸助、この時に一幕の幸助と雷とのやり取りを
お客様が思い出される訳です。

自分自身を振るい立たせ、雷を畜生!とまで蔑みます。


なぜなら? この後すぐに雷が登場するからです。

もし、秀ゆうの退場後すぐに雷が登場したら・・・?

私 安吉の登場がなく 勧進相撲の話がなかったとしたら

天満屋の後押しの話の後に すぐ雷が登場するとなると
もひとつインパクトがございません 


ここで私と幸助のやり取りに、意味が出て来る訳ですね。(笑)


私が退場した後 お客様は幸助と雷との経緯を
もう一度思い出し その時に雷の登場となるのです。

お芝居の構成としての繰り返しの手法、
うまく出来ておりますでしょ?(笑)

お客様の舞台中への気持ちが、自然に流れて行くのです。



もちろん歌舞伎に限らず、面白いテレビドラマや映画にも
こういった手法がよく使われておりますよ。

今日の写真は、そのインパクトのある雷関です。

イメージ 1


最後の最後に雷の本心がわかり 幸助に膝をついて謝りますが
幸助ともども泣き崩れるところは、一番の見せ場です。

中車さんはどうも 土下座に縁があるようですね。(笑)



話しは変わりますが中車さんの楽屋の前には 
とても素敵な暖簾がかけてあって お許しを頂いて 
一緒に掲載させて頂きます。(笑)


イメージ 2


とても素敵な色合いでしょ? 

この中車さんと松也さんの『幸助餅』も
見られるのはあとわずかですよ!(笑)