国立劇場の楽屋入口の向かいに 伝統芸能情報館と云う施設がございます。


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ここでは現在『悪を演(や)る≪歌舞伎の創造力≫』と云うタイトルで 
興味深い催しを行っております。


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江戸時代、代々の歌舞伎役者の悪人のあたり役の魅力を集めて 浮世絵ですとか
『伽羅先代萩』の仁木弾正の衣裳をマネキンに着せての展示などもございます。

さらに石川五右衛門の『楼門五三桐』の南禅寺山門の場の背景を展示してあり
そこで歌舞伎座ギャラリーのように 自分が五右衛門となり 欄干に足をかけたりして
写真を撮る事もできます。(笑)

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また映像コーナーでは 色んな作品のダイジェストが時間で上映されております。 

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「歌舞伎の魅力 かつらと床山」の紹介の中では懐かしい
團十郎さんと、宗十郎さんの『身替り座禅』の舞台中継を
ダイジェストですが 見る事ができます。

私も昨日、床山さんの紹介映像をしているなあ と 音声にひかれて
ふとそのコーナーに入ってみておりますと、宗十郎さんの奥方。

私も大好きだった役者さんですので 登場された瞬間に
「お久しぶりです・・・」といった 感じで 懐かしさと淋しさが
同時に押し寄せてまいりました。


ですが、やっぱり、宗十郎さん!
絶品の奥方の面白さ 久しぶりに堪能することができました。


山蔭右京役の團十郎さんも、女形の床山さんももうお亡くなりに
なっておられます。

それほど昔の映像ではないように思われますのに もうおられない方が
多いことに 淋しさを感じずにはおられませんで、一緒にいた家人に
「團十郎さんも 宗十郎さんも おらんようになったなあ」
と ふといいましたところ

「失ったものばかりを 数えるな、ないものはない」

と言われてしまいました。


そうですよね、亡くなった方が いないことを嘆いても仕方ありません。
こうして 映像で久しぶりに 絶品の演技を見られたことを
よかったと、いい時間を過ごせたと 思いましょう。


そう言った家人も、宗十郎さんが好きでした。
大阪から、わざわざ最後の舞台になった「蘭蝶」観に来たらしいです。
映像に出てきた瞬間に、「宗十郎さん…」と隣で言ってました。

皆の心に残る怪優でした。
そして、快優でありました。

もう、ご存知ない方も多いかと思います。
是非とも、こちらで映像でなりと知って欲しいと思います。



その他にも「金門五三桐」や「伽羅先代萩」等々も 上映しております。 

入場料は無料!


1階だけの小さな催しですが、中身は濃く 国立劇場ご観劇の折には
ぜひこの情報館へ お立ち寄りになられる事を お勧めいたします。

私も時々 映像を見に ふらりと寄る事 ありそうです。