第1部『刺青奇偶』のお仲 
第2部『歌舞伎座捕物帳』での羽笠女医、そして
第3部『桜の森の満開の下』での夜長姫、と

今回の七之助さんは 全く違うキャラクターを見事に
演じ分けられて居られます。


お仲は薄幸の女 羽笠女医は三枚目的な切れ者女医。
夜長姫はエキゾチックな御姫様。

そのどれもが、とっても素敵なお役ですが お仲は玉三郎さんを彷彿させ
羽笠女医はわずかな出番でも笑いを取って中村屋の存在感を示し

夜長姫は 綺麗さ純真さの裏に秘めた、人間の心の奥に潜む
鬼女の恐ろしさを ゾクッとするような ふた声の発声で表現して 
その存在感を示しております。



シネマ歌舞伎にて『阿弖流為』を見せて頂いた時にも感じましたが、
あの時の二役にも 七之助さんの女形の実力のすごさに驚きました。

同じ中村屋のご兄弟でも 勘九郎さんとは全く違うキャラクターの七之助さん
そうかと思うと ある面では勘三郎さんの面影を感じさせる動きや声。

七之助さんもやはり 勘三郎さんのご子息か?と 感じさせられる一面もあります。
(いえ、ご子息なのですが・・・(笑))


勘三郎さんが力を入れておられた『野田版歌舞伎』

勘九郎さん 七之助さんはその後継者にふさわしい存在になられましたね。



今日の写真はどうしても欲しかった七之助さんの2幕の夜長姫。

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夜長姫の語る国つくりの語源

「カニクニヲミテハ ネニモツユメヲ オニマニウケテ ムニシニマシタ」

この言葉をオオアマ(染五郎さん)から「しかと暗誦したか?」と云われ
私 ヒエダノアレイが すぐさま復唱いたします。

もし、夜長姫が違う言葉を発したら・・・。私 云えません(笑)

それを知ってか? 七之助さん 出の前に時々私のそばへ寄って来て

「今日は 違う事を云うかも? 聞いていてね」

と・・・耳元で恐ろしい事をささやいて 遠ざかって行きます。

まさに・・・夜長姫(笑) 


それでいて結構私には、親しみをもって接して下さり 嬉しい事です。 

楽屋で常にやんちゃぶりを発揮して 勘三郎さんにいつも叱られていた
あの泣き虫の七之助さんが、こんなに素敵な歌舞伎の女形さんになられるとは、
誰が想像したでしょうか?(笑)


玉三郎さんを継承して行かれる女形 と云ういい方は 
七之助さんにとっては もはや失礼でしょうか?


今後 間違いなく七之助さんを継承して行こうとする女形さんが
たくさん出て来られる事でしょうね(笑)


明日は待ちに待った千穐楽、今回の8月納涼歌舞伎、写真の掲載は
今日の七之助さんの夜長姫をもって終了です。


本当はもっとたくさん撮りたかったのですが、『歌舞伎座捕物帖』は
昨日書かせて頂きました通りに 私自身が結構出番が多く、忙しい。

更に、それから『桜の森の満開の下』までは、私が自由に使えるのは
一時間ほど。
3部が開くまでの時間ですので、この時間はみんな休憩時間。
扮装をしている人は おりません。

幕が開きましてからは、裏も忙しく大変です。

と云うわけで、なかなか写真の撮影が出来ませんでした。
また、次のいつかの機会に・・・

ありがとうございました。