今日のブログは 昨日からの続きです。
もし、昨日のブログをお読みになってない方がおられましたら、
先にそちらもお読みください。


さて、私この『名月八幡祭』と云う演目に出演させて頂くのは、
今回で2度目でございます。

以前に出演致しましたのは、1981年(昭和56年)9月京都南座。
今から36年前ですか?(笑)

私が、まだ関西在籍の頃 京都南座に於きましての公演でございました。

美代吉は、先代中村雀右衛門さん 藤岡慶十郎は実川延若さん
そして縮屋新助は、現在の松緑さんのお父様、初代辰之助さんでした。

私自身がたった2度しか出演していない演目でございますのに
先代の辰之助さん、そしてご子息の現松緑さんと云う 親子の縮屋新助、
なにか歌舞伎のお芝居の深さ、因縁を感じます。(笑)


今の松緑さんのお父様 初代辰之助さんも 何回かこの『名月八幡祭』の
縮屋新助を勤めておられました。 
私が大好きな 辰之助さんの新助でした。

このお芝居、いいお芝居なのですが なぜかひと月の上演回数が少ないのです。

前回出演しました南座公演を入れて、今回の歌舞伎座で36年の間に
なんと10回しか上演回数がございません

実際にご覧になられたことがない と云うお客様も多いのではないでしょうか。


その後の美代吉は、玉三郎さんが2回 現雀右衛門さん 時蔵さんが1回ずつ。
そして今回の笑也さん 

断然多いのが中村福助さんの5回でした。


私も福助さんと三津五郎さんのコンビでの『名月八幡祭』は何回か
見せて頂きましたが、このお二人のコンビは実によかったです。

実直そうな新助、水を得た魚のような福助さんの鉄火芸者の美代吉。
福助さんのために書かれたような作品でした。

このコンビ もう見られないかと思うと本当に残念ですね。


先日もテレビで勘九郎さんと菊之助さんの『梅ごよみ』を
放送しておりましたが、この何とも言えない深川芸者の雰囲気
特に江戸風情 情緒と云うものが、大事なお芝居です。

先日の『梅ごよみ』の勘九郎さんの深川芸者 米八が
お座敷や外出の時に黒の羽織を羽織っておりました。

これは辰巳芸者と呼ばれる深川芸者だけが 張りと意気を見せて
男装をまねて 羽織を着たことに始まります。
従いまして、同じ芸者とは言いましても 新橋や向島 柳橋の芸者は
着る事が出来ないのだそうです。

いわゆる 木場が近いので気性の荒い男たちを相手に
深川芸者は鉄火の女でなくては勤まりません


「辰巳」と云うのは深川の地が、江戸全体から見て 辰巳の方角に
位置して居る処から来ております。
そのため 深川芸者は辰巳芸者と呼ばれておりました。



また呉服屋の今回の私のお役 重助が深川八幡祭に際して 
衣裳を美代吉の家に届けておりますが、これが大詰めに芸者連が着ております
手古舞(てこまい)の衣裳。

これも芸者の男装をイメージした粋なのでしょうね。(笑)

そう云った事も知ると お芝居はさらに面白くなりますよ(笑)
是非、いろいろな観点から お芝居をご覧くださいませ。