今日の読売新聞、朝刊一面の「編集手帳」に、こんな記事が掲載されておりました。

「京の公卿の子、梅若丸は人買いにさらわれて東国に流れ、12歳で
隅田川のほとりに病没した。行方を尋ねて母は諸国をめぐり、
我が子の葬られた地にたどり着く・・・。梅若伝説である。

その伝説を人々は謡曲『隅田川』として語り継いで来た・・・。
どの時代の、どの親にとっても、身につまされる悲劇だったからにちがいない。」
・・・と

今日、4月15日は梅若伝説の梅若忌だそうです。

梅若丸、覚えておいででしょうか? 
今年の1月新橋演舞場におきまして上演されました『雙生隅田川』

市川右近改メ、三代目市川右團次襲名披露狂言でご子息のタケルくんが
二代目右近となられ 松若丸 梅若丸の二役を見事に演じました。

京の公卿の子、梅若丸(右近ちゃん)。
お家の家来 勘解由兵衛景逸(猿弥さん)に 計られ、人買いに売られ 
はるか東国まで流れて来て 劇中では猿島惣太(右團次さん)に殺されてしまいます・・。

でも因果は巡り 梅若が主君の子と知った猿島惣太は自ら犯した罪の大きさに
心を砕かれ 申し訳なさに切腹して果てます。

そして梅若は隅田川のほとりに埋葬された、と云われております。

母の班女の前(猿之助さん)は梅若を探し回り 諸国をめぐり歩き 
我が子が葬られた 隅田川のほとりにたどり着きます、と 云う梅若伝説。



ここで突然話は変わりますが、私 名探偵が登場する推理小説は大好きです。
でも、小説を読んでいても 犯人捜しにはあるマナーがあると思います。 

殺人事件が起こり 主人公となる人の一番身近にいる人 
犯人捜しを手伝い この人が犯人なら嫌だなあ~と思えるその協力者が、
実は犯人だった! と云う手法。

シャーロック・ホームズであれば、ワトソンが犯人だったと云う設定ですね。

私 ルールとしてこれはどうかな? と思います。
最近、時々この手法の作品を読んだり視たりしまして、がっかりするのですが。


もっとも、『雙生隅田川』の梅若が連れ去られる原因を作ったのも
一番近くに居た家来であり、小説の犯人も架空の物語ですから、
まだ許されますでしょう。

最近の事件で 子供を守るべき人が、実は犯人であったと云う事に
驚きを隠せません 殺人事件にマナーやルールもありませんでしょうが、
子供たちが信じきっていた人が子供を対象に・・・。


班女の前も、我が子が行方知れずとなっただけで狂乱してしまいます。
まして一番最悪の事態となってしまったら・・・。天災とは訳が違います。

歌舞伎や小説よりも、現実の方が惨く 救いようがない世界だと云う事を
改めて気づかされましたが 実感したくありませんね。


私も可愛い姪っ子や甥っ子のいる現在です。
肉親の方々のご心痛を思えば、幼くして命を絶たれたこの無念さ。

記事の最後には「きよう降る雨を、梅若の涙雨という。」とございます。
 
梅若忌の今日、色んな事を考えてしまいました。