今回の博多座、二月花形歌舞伎『男の花道』『雪之丞変化』
一応歌舞伎と銘打っておりますが、今まで長谷川一夫さんや
大川橋蔵さんと云った方々も、歌舞伎座や東京宝塚劇場などで
上演されておられます。



では、今回の歌舞伎とどこがどう違うのか・・・?


長谷川一夫さん 大川橋蔵さんは歌舞伎のゆかりの方ですが、上演の際には
女優さんが共演されておられます。

実質的に女優さんを使わず 女形さんが女性のお役を勤めるのが歌舞伎です。

今回の花形歌舞伎 まさにこれに当てはまりますね(笑)



そして、面白い台詞が『雪之丞変化』に登場いたします。

米吉さん演じる軽業お初の姐御が、芝居途中で小屋を出て
「もうご覧にならないんですか?」と云う 芝居小屋の口番に向かって
言う台詞ですが、雪之丞に対して・・・。

「どこからどこまで女だが、女っぷりが見事なほど、
これが本当は男かと思うと、何だか気味が悪くってさ。」(中略)

「自体おいらは、男が女に化ける女形(おやま)ってのが、
好きになれねぇんだよ!」と。


この台詞を云っている米吉さん自身が女形で、さらに妖艶で、
この若さでこの色気が出るものか?と 驚いてしまいます。

複雑な台詞ですよね!(笑)



先年「雪之丞変化2001年」の折には、かって春猿(現河合雪之丞)さんが
このお初を勤められ その妖艶さが大いに皆様に受けましたが、
今回の米吉さんのお初も、当時の春猿さんに勝るとも劣らない当たり役と
なる事でしょうね。

今日の写真は、お願いをしてその米吉さんを撮らせて頂きました。

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女スリ 軽業師のお初です。


昼の部『男の花道』では可憐な娘役を好演され 
夜の部『雪之丞変化』では一転 雪之丞に恋心を持つ鉄火の女、
お初を勤めておられる中村米吉さんです。

お父様の中村歌六さんとは、同じ年代の私。

猿翁旦那のスーパー歌舞伎や復活狂言などでは公私ともに
随分 お父様のお世話になりました。


現在、若手随一の女形の一人だと私、猿三郎は思っております。

これから、どれだけ成長されて行かれるのか?
未知数な分 とても楽しみな役者さんですね。