『男の花道』は、一昨年5月明治座で公演がありました。
(ちなみに4月中日劇場では『雪之丞変化』の公演でした。)

これから先 ブログを書いて行くにあたり、
ダブってしまう様な内容に なるかも知れませんが 
そこはご容赦下さいませ。

また、いろいろな詳しいことは一昨年5月明治座の時の
ブログにございますので そのあたりもご参考 願えたらと思います。 


『男の花道』今回の再演にあたって、配役が大幅に変わっております。

まず、大きなお役では、土生玄碵のお役が中車さんから平岳大さんに、
歌右衛門一座のお弟子 歌五郎が亀鶴さんから巳之助さんに 
歌助が壱太郎さんから隼人さんに、それぞれ変わっております。

配役の変更は、公演上の都合ですから致し方ございません


ですがここに、ただの変更でない部分がございます。

三代目加賀谷歌右衛門の設定は上方の歌舞伎役者。
ですから一座のもの、みんな大坂弁が必要となって参ります。

前回の歌五郎は亀鶴さん 歌助は壱太郎さん 
お二人はもともとが、関西に所縁を持つご出身の役者さん 
大坂弁は得意と云うより 日常です(笑)

ちなみに加賀谷東蔵の竹三郎さん 不詳頭取の円八役の私も
関西出身です。

今回の『男の花道』で関西出身の役者はこの二人しかおりません
名題下さんまで入れると もう数人居りますが・・。(笑)

欣弥さんも関西出身ですが、お役が江戸のお医者なので逆に大阪弁が
使えずにおります。(笑)


巳之助さん 隼人さんはじめ 今月の一座の人たちが
一番苦労しているのがこの大坂弁。

テレビのケンミンショーなどでも座席が地方ごとに分かれて座っておられますが、
やはりその地域の言葉などの、違いの特色がよく表れておりますよね(笑)

これと同じで大阪弁と云うのは発音のイントネーション 
アクセントだけでは表現できない独特のものなのです。

つまり、大阪人の発音を録音して、その発声通りにまねたとしても
なんとなく大阪弁に聞こえないのです。(笑)

俳優であっても大阪の人は、それぞれ大阪の香り(匂い?)
と云うものが染みついている訳でして これは生まれ育ちが
大阪でないとどうしようもありません

もちろん皆さん 役者さんですから 習得でそこそこの大阪の匂いは
醸し出されておられますが、関西のお客様からご覧になられると
どことなく違うなあ~という感は 否めないでしょうか?(笑)

私も舞台袖などで聞いていても、勉強、お稽古でイントネーション自体は
その通りなので 間違っておらずおかしくないので、云い様がありません(笑)

恐らく 匂いと云うのはイントネーションよりも 
その土地を思い出させるちょっとしたしぐさや空気
そういう空気と空気が舞台で混じり合って作られていくのでしょうね。



今月は舞台上で昼夜に「上方役者」が多く登場いたします。

発音の良し悪しではなく 大阪弁の香り 土地の匂いと云うものを
皆感じさせることが出来るように つとめておりますので、
是非とも皆様も 感じ取っていただきたいと思います。

地域性とともにお芝居で大坂の空気も楽しんで頂けたらなあ~と思います。