一昨日、家人に勧められて 日比谷である映画を見に参りました。

マイナーな映画で、東京の23区内では日比谷だけの上映ですので、
あまり皆様のご存じない映画かも知れません


タイトルは『アイ・イン・ザ・スカイ~世界一安全な戦場』

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昨年亡くなった、家人の好きなアラン・リックマンの映像上の遺作と
云う事で 見に行ったのですが、なんとも息詰まる映画でした。

タイトルの通り、空からの目! 


一応、公式HPなどにある説明だけにしようと思いますが、
うっかりと ネタバレになる内容を 書いてしまうかもしれません。
もし、予定のある方は 以降の文章 お気を付け下さい。



現代社会のテロとの戦いを強いられる軍人の特殊活動部隊の
行動を描いた映画です。


テロの実行犯も脅威ですが、この映画に登場する兵器の数々も脅威です。

タイトルの名前は、地上6600メートルの空から見張る無人航空機で、
映画ではドローンと呼ばれております。

はるか上空を飛びながらミサイルを搭載して さらに地上へ
ズーム・インすると個人の行動まで把握できるほどの高性能なカメラを
搭載しており その映像がアメリカ・イギリスの軍事基地へと
同時配信されております。

その映像を見ながら ネット回線で作戦指令を出しながらコントロールされ
ミサイルで、テロリストの家をピンポイントで攻撃しようとしております。

ただ、いくらピンポイントとは云え その周辺何メートルかは
爆撃の影響が出るために なるべく民間人の居ないのを見計らっての攻撃ですが
そこがこの映画の見せ場! 
手に汗を握って息つく暇がありません(笑)


さらにテロリストのうちの中の様子を知るために登場するのが、

・・・書きたいのですが、ネタバレになりそうなので・・・

まあ、スパイ映画の大本山、007にも出てこなかったような
何ともすごいもの!

この搭載しているカメラも先のカメラと同じで、その映像は
各国基地へ同時配信されております。


映画と云えば映画ですが、実際にいまこの様なハイテク兵器が実在するなら
各家庭のプライバシーなど 無きに等しいもの!


結末は思いがけないものとなりますが、この中で語られるのが

「テロリストを生かしておけば やがて何十、何百もの死者が出る、
 今ここで民間人数人を巻き込んでも、のちの被害を最小限にするべきだ!」

という軍事的な考え方の論議


思わず、ゾッとしました。空の目の脅威というより 
考え方の脅威が 当たり前に語られる現代社会の軍事の怖さ!


ただ、この作戦の長は女性の指揮官ですが、攻撃の決定権は持っておらず
攻撃のゴーサインが 各国首脳部にたらい回しにされるのは、
どこの国も同じで 一番肝心な時には、おそらく間に合わないだろうなあ~
と 笑ってしまいましたが、最後の決定を下すのは誰か?

これには笑えませんでした。
結局 だれも責任は取りたくないのでしょうね。


現場で奔走する行動班や、命令に従う将校、下士官たちが一番 
きちんとした考え方を持ち 自らの意思で動いているのが哀れに思えました。


とは申すモノの、では軍部の人物は 冷酷無比なのか。
それは また違いました。

彼等は仕事としての使命を貫いてはおりますが、
一度その場をはなれると そこには「普通の」日常があり、普通の人間。

「攻める方」も普通の人間としての一面もあり、
「攻められる所」にも日常があり。
攻められる側にも おそらく日常もあることでしょう。

そのあたりの描き方が 逆にぞっとしてしまいました。


とはいえ、仕事に徹する軍部と 仕事に責任をもちきれない役人(?)。

イギリス版の『シン・ゴジラ』か?と云うような迷走劇。
ですが、なんともイギリスらしい と思えるような物語でした。


実は長時間の映画鑑賞の時には 強迫観念と場内の空調などで
ついつい 一度は席を立ってしまうことが多いのですが、
この映画は 立つ暇がない!

本当に、観客自身がどこで息をついたらいいのかも わからないくらい
なんというか、息をつく間もない緊張感でした。


見終わった後に どっと疲れるというか・・・

映画としては面白かったのですが、現代において あり得る恐怖と脅威、
私たちも、知らないでは済まされない社会になって来ているのかも?


こちらの映画、年末に東京で先行上演されて、日比谷ではすでに
一か月近く上演されております。

また、各地でも今月に順次公開されているそうです。

しかも、先行上演前は 全国でも上演館がそれほど多くなかったらしいのですが
どんどん増えて行って居る模様。
これは嬉しいですね。


確かに、平日にもかかわらず、日比谷の映画館結構入っておりました。
しかも、珍しい事に 男性・・・言ってしまえば オジサン層が
多数を占めていた不思議な客席でした。

マイナーですが、上質な映画だったと思います。
興味のあります方は 是非。