今月の歌舞伎座の私の出番は『加賀鳶』だけですので、どうしても
偏りがちのブログになってしまいます事は、お許しください。

先日、ご紹介しました「いろは48組」の町火消と 
加賀鳶の大名火消との違い。

着ているものや髷の形にも顕著にそれが表れております。

モデルとして一門の笑三さんにお願いを致しました。

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柄は、雲に稲妻。

町火消は藍染の胸当て股引に、半纏がその組の文字一字が
入ったものなどですから それに比べればかなり派手ですよね。

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髷も町人髷ではなく 歌舞伎の市川ご宗家が口上の時に使われる
「まさかり」と呼ばれる独特の髷です。

これは加賀百万石の御紋の表紋が「梅鉢」そして替え紋が「丸に斧(おの)」
で あるところから 鉞(まさかり)を用いて威勢のいいことを
表していると思われます。

斧と鉞は 用途に応じて微妙に違いますが、二つを合わせて「ふえつ」と
呼びますね。

寸法的には大きな鉞の方を用いて 町火消なぞには負けないぞ! 
などと云う決意の表れでしょうか?(笑)

普段でもこの髷をしていたみたいです。

その証拠に日蔭町の松蔵(梅玉丈)が 道玄(幸四郎丈)を
やり込めるために質店の伊勢屋を訪れた時も 
この髷に羽織の着流しですよね(笑)

松蔵と梅吉(幸四郎丈の二役)は兄弟分。

ですが、台詞の中で「さすがは年かさ 松兄い!」と云っておりますので、
松蔵のほうが上でしょうか?(笑)

そして、火消しの若い者をある人数にまとめて その上に立つ
小頭(こがしら)以上から 革羽織を着ることが許されます。

小頭たちは革羽織で 松蔵、梅吉の頭(かしら)連は、緑の革羽織。

写真のモデルは、男女蔵さんにお願いを致しました。

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お役は金助町兼五郎。


革羽織は燃えにくいという特徴がございますが、町火消は木綿の半纏ですから、
ここでも ある意味 格差を強調致しておりますね。


この革羽織、舞台上でたたむ必要がございます。
すっと、何気なく、すばやく そして粋にたためるのが 当たり前。

鳶としては当たり前なのですが 演じております役者にとっては難関。

私もこの羽織をたたんだこともありますが いかに粋に格好良く見せるか
苦心したことがございます。



そして町火消の「いろは48組」に対抗して
胸には「鉞(まさかり)組」の文字が・・・。

色々面白いですね。
実際に見てみたいです。

この時代にタイムスリップして、いろいろと取材してみたいですね(笑)


男女蔵さん、笑三さん、ご協力 ありがとうございました。