今日の『加賀鳶』の、お芝居の中でハプニングがございました。


今日ご覧になられたお客様は お分かりだと思うのですが 大詰め、
加州候赤門の場面 私たち手先が道玄を追いつめて捕えるシーンです。




舞台が回り 

柝が入り 

暗闇の中 私たちが舞台に走り込み 道玄を待ち伏せして 

上下(かみしも)から「御用だ!御用だ!」の声で 

道玄(幸四郎丈)が行き場を失い 

伏せて舞台上で ゴ~ン

と鐘の鳴る場面です。


今日ご覧になっていない方も お分かりでしょうか?
加賀鳶を以前にご覧になった方でも これでお分かりかと。

今まで 加賀鳶と云うお芝居を ご覧になられたことのない方も 
どうぞご想像くださいませ(笑)


さて、この時の舞台は?

上にも書きました通り「暗闇」です。



ここで今日 照明さん 何を勘違いしたか? 
本来は暗闇のままなのに ゴ~ンととともに、幕切れのチョン パ よろしく 
全明かりにしてしまいました。


しかも、客席まで明るくなってしまいました。

道玄(幸四郎丈)と 私たち手先は、明るいまま 暗闇の芝居を続けましたが・・・
やりにくいったら ありゃしない!(笑)

途中でにゅ~っと 徐々に照明が薄らいて来まして 元の暗闇になり、
つづきました・・・が お客様からは どうお見えになっていたでしょうか?


逆に明るくなっても 暗くなっても 私たちの芝居は同じです。
やりにくかろうが 何だろうが 道玄を捕らえることには 変わりありません。


いろいろな お芝居でございます「だんまり」なんて、
月が隠れて 真っ暗になったところで 皆が手探りでの 探り合い・・・
のはずが、そこでいきなり すべての照明がつきますから・・・

これは 逆転の発想の演出でございますが 今回は幕切れの「チョン、パ」
が、ございますので、先に照明がついてしまいますと そこが目立たなくなります。

それぞれの場面の 演出効果なのです・・・。


付いたらついたで それでいいのに・・・ 

まあ、私たち的に申しますと そのままでよかったのに・・・ 
元に戻すと 間違えたというのが、恐らく違和感を感じられていなかったお客様にも
わかり かえって みんな照れくさい思いを致しました。(笑)

一番 照れくさいのは道玄でしょうね(笑)


改めて

「道玄!(チョン パで明るくなり)神妙にしろ!」

で 幕が閉まりましたが、幕が閉まった後 幸四郎さんは苦笑い!


私たち役者は関係がないので 幸四郎丈のご機嫌が損なわれなかったのが幸いの 
単純ミスのまま 笑い話で終わってしまいましたが、一つ間違えての 
大事にならずに 本当によかったです。(笑)


昨今、単純なミスが大事故につながっているケースが大変多いので
笑ってばかりはおられませんが、自分自身 こう云ったミスを
しないようにとの 戒めになった出来事ではありました。



そう云えば・・・今日は もう一つの照明話がございました。

私事で恐縮ですが 平日は朝のわりと早い時間に 先に家人が起き出しまして
ふすまで仕切られた先の ダイニングで 自身のお弁当や朝食の準備をします。

その気配や 音や 何やかやで 私も目覚めまして そろそろと起きるのですが・・・

今日は家人が何を寝ぼけたのか 起き出しまして まず和室の電気を「点灯!」


わ!明るい!!!

いきなり 目潰しをくらったような 起床をいたしました(涙)

飛び起きました。


「んぎゃ!!! 何???」

「あ、ごめん!!!」(消灯)

が、アイマスクをひっつかんで もう一度寝ました・・・10分ほど・・・

いつもと 同じ微睡の時間ですが なんだか腑に落ちない  起床となりました。


一日のうちで二回。

今日は照明のハプニングに縁のある一日でした。(笑)