昨日のブログ『荒川の佐吉』では、おもだか屋一門の猿弥さんのエピソード、
37年ぶりと書かせて頂きました。(笑)

さらに遡りまして、この『柳影澤蛍火』は 1970年5月国立劇場で初演。
實川延若さんの柳沢吉保で、猿翁旦那が護寺院隆光。 

再演が1976年8月大阪中座、再々演が2013年7月大阪松竹座。
今回で4度目の上演となりますが、東京歌舞伎座で上演されるのは
今回が初めてです。


『仮名手本忠臣蔵』や『義経千本桜』などの様に 
しょっちゅう上演される演目もあれば、この『柳影澤蛍火』のように
あまり日の目を見ず 上演されないものも多々ございます。

そのあまり上演されない演目に、私 40年ぶりに出演致しておりますのが
縁を感じてなりません(笑)


さすがに1970年の初演は存じ上げませんが、1976年、大阪中座の舞台。
40年前の私は、まだ本名で この舞台に立っておりました。

お役は、序幕に 現在男女蔵さんが勤めて居られる犬役人に従っている
ふたりの下役人のうちの一人でした。

もう一人の下役人は、今は幹部さんの嵐橘三郎さん 年月を感じますね。(笑)

私のそれ以外のお役は、曽根権太夫(今回は猿弥さん)が花道から登場する時の
揚幕の中の犬の声。

それと4幕の茶室に於いての 時鳥(ほととぎす)の鳴き声(笑)

この、効果と云われる影の役目をやっておりました。 



例えば鶯や烏などの鳥の鳴き声 赤ん坊の泣き声等
これは笛などを使いますが 犬の遠吠えや 鳴き声などはナマの声で 
名題下が担当致します。

これが、舞台には必要不可欠とは云いながら 実は犬の鳴き声などを
やっている時は なんか凄く 引け目を感じましてね・・・。(笑)

私も役者なのに・・・! なんでテープの録音などを使わないのだろう?と 
何で人間が犬の鳴き声をやらなきゃいけないの?と 
当時は結構納得できず 不可思議に感じたものです。(笑)

今は、お芝居ですからあまり現実的なものより、
人がやっていると 明らかに分かる方が歌舞伎らしいのだと 
納得できるようにはなりましたが・・・(笑)


若い時には 若い時なりの葛藤の様なものがございました。


今日の写真は、40年ぶりにこの『柳影澤蛍火』に携わりました私の
旗本 小栗左京。

イメージ 1


そして、今回一緒に出て居ります朋輩の侍。

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後藤左門役の市川門松さん

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もうお一人は 妹尾新八役の松本錦弥さん 


お二人とも、この『柳影澤蛍火』に出演されるのは初めてです。

3人とも大詰めに、少しだけ登場させて頂く武士ですが、
私は、40年の時の流れと『荒川の佐吉』同様 
タイムスリップした様な縁を感じます(笑)