昨日の五月雨につづいて 今日は関東地方 ものすごい風で、
台風のようでした。 皆様、お怪我はなかったですか?

まだ五月雨は良しとしても ここのところの天候不順 
どうなってしまうのでしょうか。


歌舞伎の舞台では お天気の表現は、主に言葉であったり、音で表します。
中には 雷鳴のように 照明が使われる事もございますが、
どちらかと云いますと 視覚的よりも聴覚的に お天気の事が
出てまいりますので、是非とも聞き取って、そのお天気をご想像の上
見て頂けましたらと思います。

例えて 云いますと、これは 情景を語る部分ですが、
新古演劇十種のうち『茨木』、
渡辺綱が母の真柴と思い 羅生門に於いて 切り取った鬼女の腕の事を
語る時の長唄に

「時しも一天、掻き曇り 降り来る雨は春ながら、車軸を流す烈しさに
進まぬ駒に鞭をうち」と ございます。

この長唄を聞いていただきましたら、雨こそ振ってはおりませんでしたが
今日のような 灰色の空を思い浮かべて頂けましたらと思います。

私は逆に 部屋の窓から お天気を見ながらも お芝居の情景がどうしても
浮かんでしまいますのは 職業病でしょうか?(笑)



昨日、明智光秀の事を書きましたら、コメント欄では
結構、戦国時代やお芝居で 興味のあるお方も多くて 驚いた次第です。


もっとも、明智光秀と云う人 謎多き戦国武将とされておりますが、
一般的にも人気があって 歌舞伎にも結構 登場致します。

今日も、このブログをアップ致します前に 見ておりました某クイズ番組、
以前猿之助さんや右近さん猿弥さんの出演されたことのございます アレを
見ておりましたら、中学生に聞いた 「好きな武将」の中に この明智光秀が
入っておりました。

私などは イメージ的には 入っていないのではないのかなと思っていたのですが
思いの外 上位でした。


その光秀が出てまいります歌舞伎。

「太功記十段目」に登場する明智(武智)光秀は典型的な座頭役者の
勤めるお役ですね。 

それに昨日のブログの「時今也桔梗旗揚」

そして、光秀は登場致しませんが 光秀を竹槍で刺したことで一躍有名になる
「小栗栖の長兵衛」 

その他、変わり種ではオペラなどの戯曲「細川ガラシャ」
これは光秀の娘 玉(たま)が細川忠興に嫁いだ、あとの悲劇を描いた物語。


コメント欄にもどなたか書いておられましたが、歴史にたらればはございませんが、

もちろん実際に生きていた人ですし、その人には その人の人生があるのですが、
どうも、その人物がなした事 それが大きくその後の歴史を変えてしまうということは
往々にしてあると思います。

もし信長が生きていたら・・・? もし龍馬が暗殺されなかったら・・・?

しかも、明智光秀自身は、あまりにも大きなことをしてしまったのですが
その後を見届けることもなく、ましてや とってかわることもなく、
あっという間に 彼自身の生涯も 終わってしまっております。

もし、もし 信長が生きていたとしたら 今の世の中は全く違ったものに
なっているでしょうし、今生きている我々すべての人間が
生れるという事すら なかったかもしれない。

歴史には そんな転換が いくつもいくつもございますし、それを重ねての
今現在が 紡ぎだされているのですが・・・

そんな大きなことをしているにもかかわらずに あっという間に
自身の人生を終えてしまった 明智光秀。

人生において まさに頂点と云うところを 彼は果たして体験したのでしょうか?
それに匹敵するべき行動をしていながら 光秀自身は全く恩恵をうけないまま
だったのではないでしょうか?

歴史の中で逆にそれが想像できない所が 歴史の面白い処です。



今日の強風の中で なぜかそんなことを考えてしまいました。


歌舞伎はそうした人たちの 気持ちを代弁している演劇かも知れません