昨日の、博多座の舞台の広さのブログは 皆様、
興味を持って頂いたようですね。(笑)

ここ博多座の舞台、今までにもスーパー歌舞伎を
何度も上演致しております。

一番最初に来ました折は、16年前 2000年11月の
『新・三国志』シリーズの1でしたでしょうか?

『新・三国志』シリーズの1・2・3は これも本水仕様の大掛かりな
瀧のシーン 雨のシーンがございました。

そして右近さん 段治郎さんダブルキャストの『ヤマトタケル』に続いて
その後に猿之助さん襲名の折の『ヤマトタケル』等々。


お芝居の作りとしましては、舞台で役者さんたちが演じている以上 
前でお芝居をしている最中 後ろのスペースを確保して 
決められた時間内で 本水の装置を移動させなくてはなりません


舞台まで移動させて、それに尚且つ 本水を流すまでの時間。
この一連の流れを 前のお芝居の邪魔にならないように 
音も立てずに、大道具さんたちは 転換を急いでおります。


この本水の装置 時代の流れと技術の進化は著しく、
『新・三国志』シリーズの時の大掛かりな 重量のあるこの装置の移動には
新橋演舞場の時は、上手から舞台上まで 博多座の時には 舞台奥から舞台上まで 
直線に溝を掘り そこにレールを敷き 電動で移動させておりました。


舞台空間 目一杯のこの鉄骨で組んだ、水槽プラス瀧の装置の移動、
もし、ちがうBGMが流れたら さながら、昔のNHKの人形劇 
『サンダーバード』の様な感じでした(笑)

普段のお芝居の時には レールを埋め込んだその溝を
カバーで塞いでいて この時だけ、はずして使用しておりました。

電動ですから、かなりモーターの音もしましたでしょうし 
重たいので、ある一定の速度でしか 動いてくれません

ですから、セットが出来上がるまでの時間もかかり 
これらをすべて計算した上で 幕前のお芝居を 延々と続けていたのです。

もっともお客様にとっては、幕前であろうが セットの中のお芝居であろうが、
お芝居そのものが変わる訳ではないので そんな事には
気が付かれていなかったかも知れませんね。(笑)

でもセッティングには かなりの時間がかかったことは事実です。

そして初期の頃は 直接、消火栓の様な水道から水を流し込み 水圧を稼ぐために
セット上部にタンクを作り そこに水をためる方式を使っていたために
その重さに耐えられるよう 鉄骨で組んであり 流れた水は 
ホースで、下水に流す仕組みで放水しておりました。 

毎公演の事ですから 今から考えると随分 不経済な事をしていたものです。
でもそれは、お客様に喜んで頂くため・・・。


ですが、今回のこの『ワンピース』の本水舞台装置、かなり軽量でして
その割には 水圧などは以前の装置の数倍の水量が使用でき、
また ある一定の水を循環式に回しておりますので、放水の心配もなく
お芝居と同時に、下水に流す必要もございません(笑)

時代の流れは、こんな所も便利になりました(笑)

今日の写真は、わずかな幕前のお芝居で本水装置をセットしている、
大道具さんたちです。

イメージ 1


装置は大きいのですが軽量のために レールもいらず 
数人の人力で移動させる事も可能です。 

イメージ 2


燃え盛るインペルダウンの監獄の火をイメージした赤布、
幕前では ニュー・カマーたちの立ち回りが 行われております。

イメージ 3



セット後ろの上手・下手のオレンジのタンクには、水が大量に入って居り
同時にポンプとして、これがすごい水圧で 流され 流された水は
またここに帰って来て 循環式に水が回っております。

そして、これらがすべてまた、ボンちゃんの幕外の台詞 立ち回りの間に
舞台が回り あっと言う間に片づけれているのです。


イメージ 5


舞台にたまった水を、大勢で処理しております。

イメージ 4


これらの写真も 博多座が広いがゆえに 遠い処からでも
写す事ができます。

新橋演舞場 松竹座の舞台では 写そうにも転換の邪魔になってしまって
この様な場所には居られません(笑)

皆様が見る事の出来ない、舞台裏シリーズの2 でした(笑)