『元禄港歌』このドラマの中で、悪人と云うより 唯一 悪行に走るのが
職人の和吉。


今日も内容触れてます。
大阪で見られる方はご注意を。


筑前屋万次郎(高橋一生さん)と歌春(鈴木杏さん)は 好きあっている男と女。

ですが、大店の次男坊と瞽女と云うあまりにも大きな身分の差で、
当然 一緒になることはできません 


そこに登場しますのが、歌春を嫁にと望む和吉です。

和吉は、和吉で好きなお酒も 1年以上前にやめて その分を 
見染めていた歌春と 世帯を持つために コツコツと蓄えていました。

歌春もやはり、女。
日陰の身で居るよりは いつか世帯をと思い、
身分の低い職人の和吉の求めに応じて 嫁になることを決意致します。


お浜と平兵衛の媒酌で 仮祝言を上げた時が、おそらく 和吉の絶頂期。


ですが、万次郎と歌春の仲を疑い始めた潔癖主義に近い和吉は 
歌春をかなり厳しく詰問したのでしょうね。

可哀想に、正直に話した歌春の言葉に 和吉はついに、狂気に走ります。


行方不明になった歌春の事で、筑前屋に怒鳴り込んだ和吉は 
訳を聞いた平兵衛から 店への出入り差し止めを云われます。

やりどころのない和吉の怒り。

無念を晴らすために お能の最中に、万次郎と思ったシテに 
毒液を振りかけますが、お面を外した顔は なんと信助! 

この時、愕きながらも 和吉は何を思いましたでしょう?

八方塞がりの和吉は結局、恋女房であるはずの歌春を刺し、
死に至らしめ 自分自身も自害して果てます。

心中を選んだのでしょうか? 
心中と云っていいのでしょうか。

何が、和吉を凶行に走らせたか?

実際に毒を浴びたのが、万次郎であったとしたら、
この後の和吉はどうなっていたでしょう。

ですが、結局は和吉が怒鳴りこんだからこその、配役?変更。
すべての因果は繋がっていると云う事でしょうか。

考えても詮のない事ですが、つい考えてしまいます


序幕の港での万次郎たちとの喧嘩の場面では 血気にはやる弥助(弘太郎さん)を
必死に止めていたのに・・・。

これも、最後まで見てから、改めて振り返って頂きますと、
繋がって来る重要な場面ですね。


今の流行りに キレタ と云う言葉がありますが、一瞬の思い 行動で、
将来のすべてを失うのは なんだかやり切れません

遠い昔も そして昔も今も、こう云う行動は おそらく今後も
なくならないと思いますが、その事によって悲しい思いをする
周りの人は 決して一人や二人ではない!と云う事を 知ってほしいですね。

今日の写真は その和吉を熱演されている 大石継太さんです。


イメージ 1


今月同じ楽屋ですが、ご本人も物静かでまじめな方です。

出番の関係ですれ違いが多く、あまりお話しする機会がありませんが、
どこかで一度、じっくりお話ししたいものです。