昨日の、「ひばりさんの主題歌」と云うブログに登場した、段之さん

猿之助さんのお父様 段四郎さんのお弟子さんですが、今では猿之助さんの
大番頭と云ってもいいくらいの位置の仕事を勤めておられます。

昔の猿翁旦那に対して段猿さんは よく「大番頭!」と云う
大向こうがかかっておりました。

各ご一門で、この大番頭と云う立場の方は 必ずと云っていいほど
歌舞伎界には居られました。 

ですが歌舞伎界での大番頭と云う呼び方は 立ち役のみで、
女形さんでその立場の方は 大番頭とは呼ばれませんでした。

段之さんの場合 なんと呼べばいいでしょうか? 大段頭さん?(笑)



もともとの番頭の意味は、公家、武家社会における警護職の頭を指し
番頭(ばんがしら)と呼ばれておりました。

『勧進帳』の幕開きで安宅の関守、富樫左衛門が番卒たちにに
「方々きっと、番頭仕れ!」と云う台詞に 名残がございますね。

ですが今 「番頭」と云うと、すぐに思い出されるのは 商家の番頭さんで
大番頭と云う意味は、大店の商家の収支勘定を取り仕切る財務大臣。(笑)

大店ですと一番番頭 二番番頭と居り、それらの頭に当たるので大番頭!(笑)

かなりの地位の人になるのではないでしょうか?


ですが、どう云う訳か 歌舞伎で登場する番頭さんは、三枚目が多く
弁天小僧の浜松屋しかり、お染の七役での番頭善六 夏祭浪花鑑の質屋の番頭しかり
ほとんどが悪人で 挙句の果てには殺されてしまう番頭さんも・・・(笑)

佐伯泰英さんの時代小説などに登場する大番頭さんは、
年齢がいってるだけあって わりとしっかり者で 旦那さんの代わりに
店の事を司る姿は 読んでいて好感が持てるのですが・・・。



今回の『元禄港歌』の2場3場では 私 猿三郎もシルエットながら
番頭さん役で奥の廊下を 行ったり来たりしております。(笑)

ですが、パンフレットで紹介されている私の番頭さんのお役は
どちらかと云うと手代(てだい)的なお役で おそらく
ほとんどのお客様 認識されていないと思います。(笑)
番頭だとしても、二番番頭か三番番頭くらいでしょう。
まだまだ ひよっこ番頭なのです。


今回 番頭さん役で大活躍なのは、段之さん(笑)

もともと女形さんなので、番頭さん役は非常に珍しいケース。


ん?一緒に出たことなかったな?と思いまして、今回改めて
聞いた見たのですが、歌舞伎の舞台でも番頭はおろか 
手代すら勤めたことはないそうです。

え???ホンマですか?な感じですが、普通の歌舞伎の舞台では
女中さんの役でしょうか?そうですね、普段でしたら 番頭での同僚は
ありえません。

これも『元禄港歌』のお遊びの部分での味でしょうか?(笑)

今日の写真はその珍しい 段之さんの番頭さんです。

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一応、大番頭くらいの地位ですが、物腰柔らかで時には涙する、
そんな人情味あふれた番頭さんですので 皆様御注目を!

私が、3役色々勤めております間にも 通し役でずっと番頭さんです。
探してみてください!


蛇足ながら 法律用語としては、平成17年(2005年)まで
商法改正以前、ある種類 又は特定事項の委任を受けた使用人を
例示する用語として「番頭、手代」が用いられておりましたが、
この年の改正によって消滅したそうです。

ですが 歌舞伎界ではまだ厳然と存在しております。(笑)

これは、身分どうこうではなく、歌舞伎の世界のモノとして
ずっと続いていくことでしょう。

次に段之さんが 番頭役をする日は???来るのか来ないのか??
それは わかりません。



ここで、少しお知らせです。

『元禄港歌』チケット完売で残念に思っている皆様、
当日立見券に関しましては 案外残っていたりするみたいです。

その日にどれだけのチケットがあるかは すみませんわからないのですが、
少なくとも、平日の夜の部、昼の部に二度立ち見券に挑戦した家人の話では、
当日の立ち見券は買うことが出来たそうです。

日によっては数枚の当日の座席指定券(キャンセル分)が出ていたりするとか。

勿論、どの程度の数か、土日はどうなのかは 当日にならないと
全く分からないのですが、一度挑戦されてみても いいのではないかと思われます。


当日券は、劇場にて一時間前からの発売です。

立見は 中二階で4500円、二階で3500円。


絶対に見られる、というわけではないのですが、完全に「完売で見られない」
と云うわけでもないようですので、一応情報としてお知らせいたします。