我が家のプチリフォームも一応終わり、(実は少し終わっていないのですが・・・涙)
今日からは ちょっとだけ 余裕のある週末になりました。

ここ数日、「何時に○○」という搬入や打ち合わせなどの用事が続きましたので、
舞台が比較的(笑)楽と申しましても どうも 気持ちが休まる日がございませんでした。


それは、私よりも早い時間に出勤して 遅い時間に(時には買い物をして)帰宅して、
急いで夕飯の準備をして・・・という家人も同じことでした。


そろそろ気分的にも余裕が出来ましたので、今日は夕飯は、買い物から献立まですべて私が担当。
一応、予算(笑)が決まっておりますので、それを超えると怒られますので、
計算しつつの買い物です。

今夜は、鯖の塩焼きに タコとわかめともずくの酢の物、出来合いですが煮しめ風のモノ
それに おひたしと云う 完全和食の夕飯を頂きました。

切って混ぜて 焼いただけですが、たまには夕飯担当もいいものです。
(よくはありませんが・・・笑)



さて、今月のお芝居のお話を。


今月の『南総里見八犬伝』をモチーフにした演目は、過去に何回も上演されております。

おもだかや一門、菊五郎劇団、愛之助さんの若衆歌舞伎,
他 それぞれバリエーションの違う『八犬伝』である事は 以前にも
書かせて頂きました。 

通し上演はもとより 今回のように「芳流閣」「円塚山」と云った 
一場面だけを取り上げた狂言立ても たくさん上演されております。

もちろんこの場面だけではなく 違う場面をからめた上演演出も
かなりございます。

そんな中で、猿翁旦那が考案されたスーパー歌舞伎『八犬伝』は
少し異質だったかも知れません

1993年4・5月、新橋演舞場 6月、中日劇場、
1994年4月、新橋演舞場 5月、中日劇場で再演。

後にも先ににも この5か月しかこの『八犬伝』は上演されておりません

劇場といたしましては 東京の新橋演舞場、名古屋の中日劇場でしか上演されておりません。

そして、本来の『八犬伝』は新橋演舞場の公演のみだったのです。


なぜかと申しますと、この作品はスーパー歌舞伎の中でも ある意味 
舞台装置に一番 お金がかけられた作品かも知れません

時はちょうど、バブル後退期から崩壊のころでしょうか?(笑)

まだ、なんとなくの余韻はありましたので、大がかりな舞台装置にも
納得ができました。(笑)


大ゼリ全体に埋め込まれた自在に変化する油圧式の装置、
セリの中ですから 上下して伸びたり縮んだり 

これが芳流閣の大屋根にもなり、また大橋にもなり、
2幕の古那屋の場面では 大立ち回りの、うちの大屋根にもなりました。


幕が開くと、戦の最中、里見義実(段四郎さん)の敵方の大将の情婦であった玉梓(猿翁旦那)。
一時は助けると云う言葉を翻し 1幕登場してすぐに玉梓(たまずさ)で殺され 
それが恨みをもって妖怪となり 1幕からいきなりの宙乗り演出。(笑)

その後 本来の主役として金鞠大輔(かなまりだいすけ)で登場され 
八房に奪われた伏姫を探しながら 虚空にとんだ八つの玉を求めて出家となり
丶大(ちゅだいほうし)と なって八犬士を探し出します。

ここで余談、皆様すでにご存じでしょうが、八犬士の苗字にはすべて
犬の名がついてございます。

犬塚信乃 犬飼現八 犬山道節 犬川荘介 犬坂毛野 犬田小文吾
犬村角太郎 犬江親兵衛。

その他 その八犬士にまつわる人物も犬の字が伏せられております。

たとえばヒロインの伏姫は 「ひと(人)」と「いぬ(犬)」

金鞠大輔 後の丶大法師は 「大」に「丶」で犬 

姫を連れて逃げる飼い犬 八房は、安房の国の「房」と
八犬士のもととなる「八」の数字。 

話が逸れました。お話を元に戻します。(笑)

八犬士を探し出した丶大法師 そしてこのお芝居 主君、里見義実と、悪の根源である関東管領 
扇谷定正の軍勢との戦い その戦の中で敵味方の隔てなく 傷ついた兵士を助けている最中に 
定正の侍大将に斬られて 丶大法師は命を落とします。

この玉梓の怨霊に支配された扇谷定正の いつもそばに居る占い師 妙椿(みょうちん)も
早変わりでの猿翁旦那のお役でした。

この作品が亀治郎(猿之助)さんのスーパー歌舞伎、鮮烈なデビューとなりました。
初お目見え 設定8歳の犬江親兵衛。 


8歳でしたが、当時の亀治郎さんは 高校生~大学生のお歳です。
それでも フレッシュな空気を醸し出しておられまして 正直、
1・2幕は物語のナレーション的存在で 最後の幕の方にしか 登場しないのですが、
暗い雰囲気の里見軍の負け戦を 圧倒的に空気を変える活躍をされておりました。(笑)


八犬士の最後の一人として現れ 八人揃う事により、八犬士の戦いが凄まじいものとなり
戦いの情勢は一挙に大逆転、里見軍は盛返し 妙椿のたった一つの小さな最悪の予言が的中して
扇谷軍は崩壊して参ります。


そして、この妙椿 実は玉梓の悪の化身で 里見義実の謝罪心と八犬士の慈悲により
本性を現し 元の玉梓の姿に戻り 成仏して行くという なんとも広大なストーリー。

この『八犬伝』はスーパー歌舞伎の中でも一番大がかりなつくりでした。



あれから もう20年以上が経ちました。

当時まだ10代だった亀治郎さん(猿之助さん)は、今年40歳・・・信じられません。
40代の働き盛りだった私も もう 60代も半ばに差し掛かってまいります。

もし、今上演されたら・・・・と思いますが・・・・そのお話は また明日にでも。


スーパー歌舞伎『八犬伝』のお話は 明日へと続きます。