今日のブログは昨日 一昨日の補足のようなブログかも知れません

『口上』の際の衣裳 かつらの事はすでに書かせて頂きました。
今日は『口上』の時の並びと 発声の順番をご紹介致しましょう。

襲名披露をされる役者さんが、もちろん中央に座します。
今回は鴈治郎さん

その方の上手(お客様よりご覧になって向かって右)に
ご紹介される、その時の一座の 最も上置き(先輩格)の役者さんが 
そのとなりに座されます。

今月、本来でしたら坂田藤十郎さんがこれに当たられるのですが、
襲名披露される四代目中村鴈治郎さんは ご子息に当たられるので
これを遠慮され 中村梅玉さんにこの事を託されました。

ですから坂田藤十郎さんは、あえて下手隣に居られます。

ここは、本来は格式的には一番下になる座なのですが、
ご子息の襲名ですので 「留め」と云う事でこの座におられます。

梅玉さんのご紹介が終わりますと、次の発声は次の上手側
次の上置きの片岡秀太郎さんに移ります。

この順番は、上手側が格上、あるいは客演と思って頂いてよいでしょう。 

本来は、上手側には客演や、上置きの方が並び 下手側には一門や 後輩 
格下の役者が並びます。

ですが 上手下手の人数にもよりますので 上置き先輩格 客演が多い場合は
下手側にも並ぶ事はございますので これは一概には云えません

そして秀太郎さんの次には二番目として客演の中車さんが発声され
その次には最上手の東蔵さんと続き 今度は最も下手側の役者さんが発声されます。

上手側が終わりますと 下手の中で最下手側がもっとも格上となります。

今月は扇雀さんがこれに当たられます。

そして、また中へ戻って参り 次は下手から二人目(亀鶴さん) 
三人目(壱太郎さん)その次にご挨拶の留めとして 藤十郎さんが発声され
最後に中央お披露目の、鴈治郎さんがご挨拶される訳です。

これが『口上』の作法でして 最後に全員で客席(三階席)を見上げ 
上手 下手 中央奥と目線をおくり 平伏して『口上』が幕となる訳です。


短い時間の『襲名口上』ですが、これは歌舞伎ならではの催しでして
お客様と役者連が、客席と舞台とで一体化される 貴重な交流場処です。


毎日同じことをおっしゃる方もおられましたら その日その日で少しずつ変える方も
おられます。

襲名のご披露口上でしたら、その襲名される方や 先代、先々代と云った方と
ご自分もしくは お父様などとの思い出を語られる方も多いですし、

巡業でございます「御目見え口上」と云うものでは その土地土地での思い出などを
話されることもございます。


そして、緋毛氈の上には 必ず、白扇。これも口上のしきたりです。


いろいろな角度からご覧になられましたら、またちょっと口上も楽しいものに
なるのではないでしょうか??