今日が終りまして『5月明治座花形歌舞伎』千穐楽まで
あと2日、2回の公演を残すのみと なりました。

その後にはまたすぐに 博多座の公演のお稽古に突入いたしますが、
とりあえずは、私はまだ、今月の公演に意識を
持っていなくてはなりません(笑)

お役の変更も3日目を迎え なんとなく自分の気持ちの中にも
落ち着きを持てるようになって参りました。

今月の私の出番、夜の部の『鯉つかみ』では愛之助さん 男女蔵さん
亀鶴さん等々と 一緒の舞台に出させて頂いておりましたが、
昼の部『男の花道』では猿之助さんとご一緒の場面は、
頭取円八で ほんの一瞬だけの舞台でした。

その他の出番も壱太郎さんとも、ほんの一瞬の舞台。

それが、お役変更後は、俄然 舞台上で相対する役者さんが多くなり
猿之助さんとは長時間の二人だけの舞台も経験させて頂きました。


まして、今月 ず~っとすれ違いの舞台でしたのが、中車さんでした。

その中車さんとも一緒の場面に登場させて頂いております。

来月も中車さんとは『曽根崎心中』と『ぢいさんばあさん』で
御一緒させて頂きますが、中車さん自身 歌舞伎の舞台のレパートリーが
かなり増えて来られました。


今回の『男の花道』の土生玄碩も その一つですね。

頑固一徹 強情な男の医者 土生玄碩を好演されておられます。

映画の世界では香川照之さんとして 実力派、技巧派の俳優さんですが、
その方が、私の代役1日目に
「急に変わって よくできますね。 私なら絶対無理です。」
と ご謙遜を交え 加賀屋東蔵のお役を褒めてくださいました。

私 この思いがけないお言葉には、正直 一も二もなくうれしく思いました。


代役はできて当たり前の歌舞伎の世界。
出来たところで 褒めてくれるものではないのです。

反対に できなければ、今まで何を修業してきたのか!と 
お叱りを受けるのが この世界の習わしなのです。

代役といえども甘えの許されない世界ですが、
そうは申しましても、やはり代役を勤めます時には 本当に色々と精神的にも
気を使ったりすることがございます。

なんでもない顔をして「ふふ~ん」と云った感じで 勤めあげられましたらいいのですが
私はそうもまいりません。

どこか苦しみつつ、必死に初日の舞台を勤めました。


それだけに 中車さんのこのお言葉には、ただただ素直に喜んでしまいました(笑)




色んな意味でご苦労された中車さんですが、これからも歌舞伎の世界で
御一緒することが 多くなることでしょう。


今日の写真はその中車さんの 土生玄碩。


イメージ 1


頑固一徹 強情者を絵にかいたような中車さんの土生玄碩のお役。

先日までの 頭取円八では 散々悪口?を言いまくってしまいましたが、
東蔵では 歌右衛門を任せるしかない なにとぞよろしく~と云った感じで
玄碩に対しての 立場もすっかりと変わってしまいました。

猿之助さんの歌右衛門と、中車さんの玄碩と云う舞台に 5日間とはいえ 
共に舞台の上で立ち、演技することが出来ますのは ありがたいことです。

これからも、猿之助さんの歌右衛門と共に よきコンビの『男の花道』が
数多く見られます事を 祈ります。


後二日間ですが、東蔵のお役、精一杯勤めさせて頂きますので、
よろしくお願いいたします。