今月の『鯉つかみ』の私のお役 粟津郷左衛門。(写真掲載済み)
「端敵(はがたき)」である事は先日のブログでも紹介致しました。

このお役、劇中で2回登場しておりまして、先日掲載させて頂いた写真は
1度目の登場の衣裳になります。

2回目のお役の時は掲載した写真と違う衣裳を着ております。


ですが頭(かつら)は同じです。


その頭は歌舞伎独特の特殊なかつらです。
また、名称としては かなり複雑な名前になっております。

何度かこのかつらに 似た系統のかつらの話は 以前にもさせて頂いておりますので、
「我こそは!」との方は ここを読まれる前に 先日の郷左衛門の写真をご確認の上 
この後の内容を 想像してみてくださいませ(笑)



では、まず写真を見て頂きましょう。

イメージ 1


正面からの写真では少し 見にくいでしょうか?
横から見ますと こうなります。

イメージ 2


名称は

『油付(あぶらつき)、菱皮鬢(ひしかわびん)の後ろ切り藁(きりわら)』

の、かつら とこうなります。


「菱皮鬢」と申しますのは、前の鬢、が菱型の形 いわゆる ◆型の形。

ちょっとわかりにくいのですが・・・耳の上のあたりの  横っ側の部分が
◇の形になっているのです。

二枚目の写真で お分かりになられるでしょうか??


正面から見ますと両側にそり立つように出ております。
これがちょっと斜め上から見た形。


鬢(びん)というのは、赤のこの部分

イメージ 3



「油付」というのは、脇から後ろのここの部分で

イメージ 4


鬢付油により、びち~っと 完全に固めきったものになります。
恐らく、客席からご覧になられますと この部分が あまりにもテラテラと光っていて
ここまでは 毛ではなく 何か別の そうですね 例としてはプラスチックのようなもので
出来ているように みえるかもしれません。

ですが、この部分もちゃんと 毛を使っておりまして それを油で固めてますので
こんな感じに見えるのです。


「切り藁」というのは うしろの髷で いかにも藁を切ったように突き出しております。

独特のかつらで、これは他の演目でしたら、『寺子屋』の春藤玄蕃(しゅんどうげんば)

また『車引』の金棒引き(上方式では違います)



最初に説明いたしました 「菱皮」、昔はイノシシの毛を使っていたので 
「猪皮(ししかわ)」とも云われておりました。

現在はヤクの毛を使っておりますので 「唐毛(からけ)」と云われております。


勧進帳の弁慶などは、有名なかつらの毛の名称です。

荒事系で まして端敵 

私 このかつらをかぶったのは 初めてでしょうか?

どうも記憶にございません(笑)


かつら一つでも 役柄などの様々なモノが見えてまいります。

ご観劇の際には 是非のこのあたりも 御注目いただけましたらと思います。