今日は、お芝居のお話しから少し離れ またまた私のマニアックな世界へ・・・(笑)

猿翁旦那が昔の梅田コマ劇場により上演されて居りました「グランド歌舞伎」から 
グレードアップした作品を作り上げた時
その作品『ヤマトタケル』を 「スーパー歌舞伎」と名付けられました。

グランドよりスーパー! それが現在のスーパー歌舞伎シリーズへと発展し 
今回上演しているスーパー喜劇も その流れを汲み 本来の喜劇よりは、
グレードアップしているお芝居となりました。

言葉では単純に グランドからスーパーと、変わっただけの様に見えますが
内容的にはやはり格段の進歩です。



その昔 この様な時に使われている独特の言葉がございました。

「ど」! 
所謂 よく使われている意味としては 阿呆の前につく 「ド」阿呆!

または、きつい などと云う時にさらに表現して 「ど」ぎつい!なあ~とか、

根性の前につく 「ど」根性! 等々。


何気なく使って居られるかとは思いますが、私が子供の時によく作っていたプラモデル。

太平洋戦争当時の 主に戦艦などのプラモデルを買った時に、パッケージの表に 
ド(弩)級戦艦とか それを超える場合 超ド級戦艦などと表示されて居りました。

先日 フィリピン沖で見つかった武蔵や 沖縄沖で沈没した大和などは 超ド級戦艦、
と 表示されて居りました。

従来の世界中の戦艦より 一番大きい 世界最大の戦艦。

これが先ほど書きました弩級の本来の意味です。

奇しくも今日は、戦艦大和が出撃して沖縄に向かう途中 撃沈された日だそうです。
ちょうど70年前の今日。
 

ではこの 「ど」 と云うのは?

1900年当時 世界は大艦巨砲主義となりました。 ようするにより大きい大砲を乗せた
船が有利とされた時代です。

この当時、大砲は海賊船の様に、横にいる相手の船に 横に向けて撃つのが主流でした。

ですから前後に装備され、可動して真横の遠くを撃つ大きい大砲(主砲)と 
近くにいる相手に撃つ 艦の両サイドにある副砲と 2種類を 搭載していたのです。


ですが、時代が進むと 相手の大砲が当たらず こちらはより遠くから撃つことが
戦いに於いて より有利になるようになると 今までの様に直線的に 真横に撃つより 
どうしても斜め上に向けて撃つようになります。 
つまり 大砲の弾は放物線を描いて 飛ぶようになりました。 

そすると副砲の意味があまりありません

ここで当時のイギリスが 主砲を艦の両サイドに回転させ 両方打てる様に 
主砲2門5基を艦の一線上に並べて配置して副砲を廃止する 画期的な独特の戦艦を建造いたしました。
こうすると10門の大砲が左右どちらでも 撃つ事が出来るのです。

この戦艦の名前が『ドレッドノート』

この戦艦が発表されるや否や 当時こぞって 新造艦を造船していた各国は 
お金をかけて 旧式の戦艦を建造して居る事となり 仰天したそうです。


日本ではこの当時 日露戦争真っ只中。

東郷平八郎の戦艦三笠も一気に旧式艦となったのですが まだバルチック艦隊も 旧式艦の
艦隊だったので 助かったわけです・・・(笑)

このドレッドノートの名前を日本文字にすると 頭のドを 弩 と表示して、
普通よりさらに 規模がでかい とか さらに輪をかけたような言い方の時に
この ど が使われる様になりました。

さらに、この時にあてられた「弩」という漢字は、古代中国で使われておりました
弓の一種です。

アーチェリーや弓道の様に タテ型の弓ではなく、どちらかと云うと、クロスボウのような、
ウイリアム・テルが持って居た様な 横型の弓です。

日本でも古代には使われて居た様なのですが、戦い方の変化や時代の変化によりまして、
使われなくなりました。

どうして、その「弩」を漢字として充てたのでしょうね?
使われていなかった日本では、「弓」に比べて「弩」の方が、威力があり、驚異的
だったのでしょうか??

これについては、よくわかりませんでした。




さて、先ほど書きました 「ど」あつかましい や 「ど」まんなか。
につかいます「ど」 これは大阪の方が わりと馴染みがありますでしょうか?(笑)

私はこのブログを書きます時には 「弩級」と同じ語源だとばっかり思っておりましたが
どうも、この接頭語としての「ど」は、関西由来の言葉の一つで、「弩級」の「ドレッドノート」
よりも古くから使われていたみたいです。

「度」をこす、上回る すごさ と云う意味でしょうか??

ま、どっちにしても「ど」がつくほど「すごい」の意味なのでしょうね。

私は関西ですので 普通に使っておりますが、どこまでの浸透度なのでしょうか???


スーパー歌舞伎 スーパー喜劇も こう云った意味では 超ド級お芝居です。

「弩」級 で 「度」を超えた お芝居、さて、大阪では ますます進化する予定です。
どうなることやら? 
演者にも 皆目見当がつきません