新橋演舞場の『かぐや姫』今日が終わって、東京での公演回数が、
やっとシングルとなりました。日数もちょうど後1週間。

まだご観劇でない方は どうかお急ぎのほどを・・・(笑)

今月の『かぐや姫』で 藤山直美さん扮する かぐやが、
一番最初に登場するシーン

チラシにも掲載されておりますが、まるで金太郎さんのような
扮装を致しております。(笑)

来月松竹座のそのチラシの写真で恐縮ですが、これです。
新橋のチラシしかお持ちではない方は、松竹座でパワーアップした?する?ポーズに
御注目くださいね(笑)

ですが、今日の本題は これではございません

イメージ 1



この写真のかつらをご覧ください。

真ん中が結わえられており 輪が二つございます。

これを稚児輪(ちごわ)と申します。 この稚児輪のかつら 本来は男の子です。

舞踊『橋弁慶』の牛若丸(能茶筅と云うかつらを使う方が多いですが・・・)や
歌舞伎十八番の『暫』や『女暫』で最後に 銘刀 友切丸や、からくり丸を持参する 
小金丸行綱 手塚の太郎 等々

また、昨年11月 明治座におきましての『四天王楓江戸粧』の際
團子ちゃん演ずる鬼童丸もこの稚児輪のかつらでした。


元々は元服前の男の子の髪型でしたが、江戸時代の後半から明治にかけて、女の子にも使われ出し、
10代前半くらいまでの女の子にも 見られるようになった 髪型です。

ですが、一応、スーパー喜劇『かぐや姫』の時代では、男の子の髪型の括りでいいと思います。



そして、この稚児輪のかつらとは本来 一緒に飾るはずのない「力紙」が施されてございます。

力紙と云うのは左右に伸びている 折りたたんだ菱形の装飾。

これは有名な処では『暫』の鎌倉権五郎や『女暫』の巴御前の髪にこの装飾がございます。
これも力自慢が表れの装飾。


そして、衣裳の柄をご覧ください。

赤い大きな格子模様の柄ですが、これを童子格子と申します。

色は違いますが『菅原伝授手習鑑』の『車引』の場面で梅松桜の三兄弟が
着ているのが 紫色のこの童子格子です。

話はそれますが、猿之助さんのユニクロでのTシャツモチーフの松王丸も この童子格子です。

この童子格子の名前。、その発祥は歌舞伎舞踊の酒呑童子から、来ております。
前シテの童子の扮装がこの柄です。


これも、若い と云うより 幼い 所謂 子供のイメージでの衣裳です。
そして黄色いひもの縛り方は舞踊『吉野山』の忠信の縛り方です。



直美さん扮するかぐや姫は 本来は女の子ですが、竹から生まれた力強い子供。
髪型といい、衣裳といい イメージは、すべて強いモノ。
また、あえて歌舞伎の意味合いの強い衣装などを(ありえない組み合わせで)組み合わせて 
登場するのは やはりスーパー喜劇ならではでしょうね。(笑)


その下の胸当てが おもだかや一門の紋(立ちおもだか)になって居る処からも
猿翁旦那のエグゼクティブスーパーバイザーたる所以でしょうね。


この他 色んなところで歌舞伎らしい衣裳 かつらが登場致します。

これらの衣装 かつらにも ご観劇の時にはご注目下さいね。

勿論、ありえないところにありえないものも 出てまいりますので そのあたりも
ご覧いただきますのも リピーターの方には 楽しんで頂けるのではないでしょうか。