先日、伊豆高原へ旅行に行きました時に コメント欄で大室山のお話しが出て参りました。

この大室山は岩長(磐長)姫を祀ってある浅間神社がございます。

すり鉢状の頂上の周囲は、1周しますと、およそ20分ほど。

季節によりましては ちょっと風が強く、寒いと感じる時もあるかもしれませんが、
風景もよく、ハイキングほどの距離でもございませんので 気持ちのいいお散歩を
体験できると思います。


火口には、なんとアーチェリー場がございます(笑)
完全に、すり鉢になっておりますので 風の影響も受けず、環境もいいのではないかと思います。

本当は私も体験したかったのですが、寒さと、着ている物が あまりにも もこもこなので、
ふさわしくないかなと思いまして 今回は断念いたしました。

もう少し暖かくなってから リベンジしたいと思います。



さて、その火口を少し下りますと、浅間神社の社が見えます。ここが岩長姫を祀ってある場所。

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超簡単にざっくりと歴史を申し上げますと、岩長姫は 父が大山祇神(おおやまつみ)、
木花開耶姫(このはなさくやひめ)の姉。

この姉妹、名前を見たらちょっと・・・えらい差があるなと感じる人も多いでしょうが(笑)
見た目は少し・・・ですが、岩の様に強く永らえる命を持った 姉と
花の様に美しいのですが、花の様にはかない妹。

一人の男(アマテラスの子孫・ニニギノミコト)に 長い命と 花のような繁栄を願い、
姉妹を共に娶らせたのですが、美しい妹 木花開耶姫のみを気に入り、姉を返した・・・

だから、私たち人間は 限りのある短い命になった。


神話の時代の物語です。



木花開耶姫は、一般的に富士山をご神体とする 全国の浅間神社に祀られております。
(父や姉と共に祀られていることもあります)

それに対して 大室山。
ここの浅間神社は 全国でも珍しく、姉の「岩長姫」だけを 祀っている浅間神社だそうです。


そのため、ここ大室山で、富士山の事を褒めると岩長姫が焼餅を焼き
お天気が崩れるという言い伝えが あるそうです。

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私、それを知らずに登頂しました時 先に富士山に目が行き 「いいお天気で綺麗だなあ~」と
云ってしまいました。


正直 富士山は頂上付近が雲に隠れ 全体像は見えなかったのですが、
頂上が雲にかかる原因を作ったのは 私であったのかな?と 反省致しました(笑)

いえ、大室山にいたからこそ、岩長姫の力で、綺麗な富士山が見られなかったのでしょうか?



このお話、長く澤瀉屋を見て下さっている方には ああ・・・と思う方も多いでしょうか。


今から14年前の平成13年(2001年)8月24~26日、静岡県のイベントで
上演された事がございます。

場所は静岡県多目的ホールであるグランシップ静岡、大ホール”海”

東京駅から新幹線に乗りますと、静岡駅の少し手前に 左側に船をモチーフにした
大きな会館が見えて参ります。

そのホールのこけら落とし公演 静岡に所縁の作品で 私たちが勤めさせて頂きました。 


演目の題名は祝祭劇『佐久夜』

「この花咲くや姫」とその姉である 「岩長姫」との物語。

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もうそんなに経ったのかと びっくりしてしまいますが その折のパンフレットを
自宅で掘り起こしました。


悲恋ではありますが、富士のお山にこのような言い伝えがある事を 詳しくはその時に知りました。

もちろん歌舞伎風に作られた作品ですが、市民コーラスや韓国の謡と云われる パンソリも入り 
大太鼓、ドラム演奏とのコラボレーションもあり とてもユニークな出来上がりとなりました。


瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が右近さん 佐久夜姫は笑也さん 岩長姫が春猿さん

摂政に猿弥さん 月乃助(当時段治郎)さん 


私は猿四郎さんと共に 舞人のお役で執着獅子のような獅子の毛を被り 
毛振りをさせて頂きました。

たった3日間の公演ですが、何回公演だったでしょうか?
さすがに ちょっとその記録は 私自身には残っておりません。

観客数は多かったですが、わずか3日間の公演としては、もったいなかったですね。

イベントではなく どこかで公演として再演しても面白い作品であったと思います。


当時のパンフレット、スタッフの中にも もう鬼籍に入ってしまった方も 多くおられます。

ついこの間の事のような気も致しますが 気がつけばもう14年ですか・・・


早いなあ~と思いながらも 今回 大室山では 岩長姫・・・ああ春猿さんだ~と思いながら
手を合わせてまいりました。


確か、どこかで放送されたと思いますので、家にもDVDがございます。
一度ゆっくりと 見直したいものですね。