今日で、壽初春歌舞伎 中日を迎えました。
今はお正月気分もなくなり、普通の生活でしょうか?(笑)

ですが今日も平日にもかかわらず 連日の大入りでありがたい事です。

さあ、今月の演目を少しづつご紹介しておりますが 今日は
『祇園祭礼信仰記(金閣寺)』について・・・。

なのですが、このお話し かなり入り組んでおります。

お話しだけを追うとかなり荒唐無稽ですし、私なりにちょっと整理をして 
書かせて頂きたいと思います。が

今日はこの作品の概略から(笑)


ここで登場致します「雪姫」。今月は七之助さんが演じておられます。

僧侶でありながら、絵師として有名な雪舟の孫娘と云う設定です。

雪舟の生没年を一応記しておきますと、
応永27年(1420年) - 永正3年8月8日(1506年)(諸説あり)

松永大膳(染五郎さん、歴史的には松永弾正久秀)が1510年ごろの生まれとありますので、
存在した時と重なる年代ではありますが、ちょっと無理があるような、ないような?
微妙なラインと云う感じでしょうか?

ですが、あくまでも歌舞伎の世界ですので 雪舟の孫娘と云うのは あくまでも架空。



この雪姫、『本町二十四孝』の八重垣姫 『鎌倉三代紀』の時姫と共に
歌舞伎の三姫と云われており 縄で木に縛られた状態で演じるために 
見せ所としては至難のお姫様と云われて居ります。 

足で描いた鼠が抜け出て 縛られた縄を食いちぎり 逃げ出すというのは
お祖父さんの雪舟よりも 絵に対しては達人で上手な絵を描いたと云う事でしょうが、
ありえないながらも、ここに雪舟のエピソードが入っている事も 
なんだかうなずける作品。



松永大膳はもう一人の絵師 狩野之介直信(笑也さん)をも捕えて うまい方に金閣寺の天井に
龍の絵を描かせようと致しますが この狩野直信も おそらく実在の人物。

永正16年(1519年) - 天正20年10月21日(1592年11月24日) と云うことですので、
大体、松永大膳と同世代か、少し下といった感じではないかと。


実在の人物に囲まれていながら恐らく架空の人物 雪姫。


架空ではありますが、出自はまた 非常に有名な人物とのつながりがあり・・・

こういったシチュエーションは 歌舞伎のお手の物。

虚実ないまぜにしながらも、あたかも 実際にあったかのような創作こそが
お芝居の真骨頂なんでしょうね。

つまりは 突き詰めますと、調べても確実なことがわからない場合がほとんどですが、
それでも、どこまでが史実でどのあたりが架空の物語、

それがどう絡まって物語が作られているのかは ついつい気になって
調べてしまいますのは 私の悪い癖(笑)

この辺 明日から少し掘り下げてみましょうか?(笑)


しばし お付き合いくださいませ。