また、昨日の続きからです。

相変わらず 内容に触れておりますので、閲覧注意警報発令です。



二幕に入り、場面は一転 一条戻橋の場、・・・なのですが、
先に 2場の「平井保昌館の場」の前半を かいつまんでご説明致します。
その方が 分かりやすいかと思いますので・・・。


この場面に至るまで ちょいとお芝居の中では説明不足なのですが、
これまでに実は 源頼光に勅命が言い渡されております。


これは「大内(内裏)より紛失した「十握(とつか)の宝剣」の行方を 探索せよ!」との勅命です。

この十握の宝剣、御遺文が紛失した今、(序幕で辰夜叉御前が焼き捨てたもの)
帝に即位するためには なくてはならないもの。

が これは以前 盗賊たる袴垂の安、(=保輔=猿之助さん)が大内から盗んだもの!
安が、隠し持っております。

この場面は 正直 お芝居の中にはございません


さぼてん婆(竹三郎さん)が、保昌館で安を踏んまえた時に 台詞の中で云っているだけなのです。

正直 この設定は 説明不足かと・・・。 とにかく「十握の宝剣」を持っているのは保輔です。



源頼光は 帝御遁世(帝が亡くなって 次の帝が定まっていない)の折にも拘らず 
「勅命(=帝の命令)」とはおかしいと言って 従いません

これこそが、辰夜叉一派が 本当に狙っている事でして、
源氏の棟梁たる頼光に 「違勅(勅命に従ぬ)」という大罪を着せます。

まるで、今20%以上の視聴率をとりまくっている 某ドラマのような陰謀の嵐です。




そこで頼光は 家来たる平井保昌の館に身を隠しますが ここへまた上使として
私、石蜘法印がやって参ります。

そして勅命に従わないのであれば、頼光は切腹なして、身内が首を差し出せと、
上意を持って迫ります。

もともと、帝がいないのに 帝の上使、帝の上意と云うのは 実におかしいこと。
なのに 無理無理来ておりますのが この私。


てか、前の幕までは ちょっと怪しげな修験者だった私・・・
これは どういうことでしょうか??

中日以降にまたまとめて 解説しようかなと思っております。



こういう流れにおいて、何とか頼光を助けたいと、思ったのが家来の平井保昌。

ところがこのお芝居、独り武者の平井保昌が登場いたしません
(設定では、丹波の国に伺候しており、不在となっております。)
妻である和泉式部(笑三郎さん)のみで話が進みます。


ここで一計を案じますのが、平井の母、幾野。(秀太郎さん)



先に書きました 2場のまとめ!

帝の即位に必要な剣を 持っているのは 保輔(猿之助さん)
欲しがっているのは 高明・辰夜叉御前(亀三郎さん・猿之助さん)の姉弟。
それに加担しているのが 石蜘法印(私猿三郎)

頼光に剣を探せと命令しましたが 拒むなら命令に背いた罪で 首を差し出せと。


こんな感じです。



ここから、説明は1場の一条戻り橋の場へ戻ります。

昨日ご説明した平井保昌の弟で今は、男夜鷹に身を落とした、平井(袴垂)保輔。


この保輔、刃物を見ると失神すると云う病があります。
武士としては ありえない病。それにあきれはてた兄(保昌)に、勘当されてしまったのです。

その後 盗賊となり挙句の果ての男夜鷹。
人を殺してまでその日の、身銭を稼いでおります。


ところがこの保輔 源頼光に、姿形がよく似ております。

窮地に立った母、幾野は一条戻橋へ袴垂の安、事 保輔を訪ねて参り、屋敷へ連れ帰ります。

と、ここ迄が二幕1場のお話し。


そして、2場の保昌館で、母の幾野が保輔に頼んだ事は、
「主君である頼光の 身代わりとなって切腹して、首をくれ!」と、云う事。

しかし刃物を見ると、気を失う病の保輔、そこで保昌の妻、和泉式部(笑三郎さん)は
保昌の意を受けて 刀の代わりに、鋭く削った梅の枝で腹を切らせようと、致します。

母も兄も兄嫁も皆が死ね というのも・・・何ともかんともな気分ですが・・・



実は母の幾野は、保輔の病の治し方を知って居りましたが、子供のころから、
乱暴者だった保輔に、あえて刀の病をそのままにしていたのです。



「身代り首を企てている!」と石蜘法印が見破り、そうはさせじ、と迫りますが、
母、幾野がここで特殊な薬草(龍頭草)を火鉢に投げ込み、病を回復させ、
保輔は 苦手なはずの刀を手にとり、石蜘法印を 斬って 病の本復を知ります。


そして、和泉式部の妹 許婚の橋立(笑也さん)と死に装束で祝言を挙げ、
お主である頼光の身代わりとなって 見事に「刀」で切腹なして、
母 幾野に首を討たれます。


ここへ来て 初めて「切腹」と云う手法を使ったと云われる 袴垂保輔のエピソードが
このお芝居に書き加えられている訳です。


この切腹する時に 保輔が大内より盗み出した十握の宝剣の在り処を、橋立に耳打ちします。
「十握の宝剣のありかはな・・・」という 一瞬の台詞なのですが これ結構大事な台詞なのに 
一言で終わってしまいますので できれば 聞き逃さないで頂きたいです。

三幕につながりますので・・・。



改めまして、二幕のまとめ!!


袴垂の安(=一人武者保昌の弟保輔)は、源頼光にそっくり。
主のために 保昌&保輔の母である 幾野は 頼光の身代わり首を企てて、袴垂の安(=保輔)に
会いに参ります。


私が上使として 現れ、首差し出せと迫りますので 話がややこしいことになっているのですが(笑)

結局母の最初からの思惑通りに 保輔は身代わりの首になります。

超簡単にまとめますと こんなお話なんです。



二幕の幕が閉まった後で、幕内から幾野の声で「エイ!」と云う陰の声が聞こえます。

これは、幾野が保輔の首を落としたと云う陰の声ですので 
どうかそこまでお聞き下さるようお願い申し上げます。


決して、幕が閉まっている途中で お席をお立ち頂きませんよう・・・(笑)
閉まりましても お芝居は続いておりますので。


今日のブログ、内容は 舞台の進行と解説が前後いたしておりますが、
あえてご理解しやすいよう書かせて頂きました、
悪しからずご了承くださいませ。

と ここまでが二幕。 で またまた明日の三幕に 続きます。


書いている私の頭の中では ある程度理解が出来ているのですが、書いているうちに
色々と 入れ事をしたくなってしまいまして、話がわかりにくければごめんなさい。

出来ましたら もう一度(といわず 二度三度)今日のブログ 最初から 読んで頂けましたら、
何となく それぞれの思惑が つながるのではないかと・・・思います。