『金幣猿島郡』の幕開き 舞台となっております所は、どこでしょうか?


答えは 京都の南の位置します宇治。
宇治茶として お茶どころとしても有名です。

・・・って、今日のブログの題名に書いてしまってますけどね・・・(笑)


私が幕開きの男で この宇治が元藤原忠文(=猿之助さん)の所領だと申しております。

関西にお住まいの方は、宇治の場所はよくご存じかと思いますが
地方の方は どのあたりにあるのだろう?と よく分からない場所かと・・・(笑)

大阪淀屋橋~京都三条~出町柳を結ぶ私鉄に、京阪電鉄と云う路線がございます。

大阪から向かいますと、途中『引窓』の舞台となります 樟葉 橋本 八幡と過ぎまして
京都競馬場の淀駅を過ぎてから 中書島(ちゅうしょうじま)と云う駅がございます。 
乗り換えますと、ここから宇治線と云う 別の路線が出ております。

そして終点が宇治駅。 ですから、宇治と云う所は、途中下車のできる駅ではなくて 
宇治へ行く目的が無いと 降りない駅なのです。

もちろんJR奈良線に宇治駅と云うのもございますが、少し離れた場所になります。


京阪宇治駅は今回の『金幣猿島郡』の序幕、通圓の場となります真ん前にございます。

宇治橋東詰 茶屋、通圓。 

茶屋と申しましても 京都独特のお料理屋さんではなく 本当に宇治茶を販売しているお店です。
もちろん ここで旅ゆく人々がお茶を頂く事も出来ます。

私も序幕舞台上で、春猿さん扮する桜木からお茶を御馳走になっております。


この通圓茶屋 歴史はとても深く 創業は平安末期の1160年と云いますから、
およそ850年にもなります。 

ただ、『金幣猿島郡』の藤原忠文 源頼光の時代は、それよりさらに前の事となりますから、
本来でしたら、時代背景は この通圓茶屋は存在していない時代だったでしょう。


でも、歌舞伎は架空のお話、平安時代の人が江戸時代の装束で登場するのですから、
その時代に 存在したかどうかは 問題ではありません(笑)


この通圓の茶屋から宇治橋を挟んで 西詰に参りますと、少し行った所に
御芝居の2幕に登場する、橋姫社(はしひめやしろ・・神社とも云いますが)が
ございます。

先日の門之助さんの頼光の背景がこの橋姫社です。


桜木が橋姫の事を私に語りますが 猿之助さん扮する娘 お清はその事を云い誤り 
清姫と云うが故に 娘の名前も清姫と呼ばれているのだそうです。

これは、詳しくは語られておりませんが、もしかしたら幼いころに自分のことを
橋姫になぞらえて  清姫と云っていた ということでしょうか??
(さすがに大きくなってから 「言い誤って」 いた訳ではないでしょう)



この「橋姫社」の言い伝えはたくさんございますが、往々にして縁切り神と
称されております。

先日も書きました、渡辺綱が一条戻り橋で出会いました鬼女が 嫉妬に狂うが故に 
ここに祀られたと云う伝説。等々 

ちょっと嫉妬深い 女性にまつわる諸説が この橋姫伝説として残っております。

(興味のある方は 調べてみてくださいね)

嫉妬に駆られて鬼となった清姫には、まさにうってつけの舞台と云うことです。
上手くできていますね。



また、宇治の橋姫と申しますと もう一つ思い起こされますのは
『源氏物語』の宇治十帖でしょうか?

これと今回の物語がどう結びついているのか?結びつきがあるのか?
これに関しましては 全く思いつきませんので、想像しかできませんが、

身分を隠して(世を忍んで)隠れ住んでいる地が この宇治と云うことが
共通しているでしょうか?

宇治と云うのは そういう地であったことでしょう。



今日の写真は『金幣猿島郡』幕開きで 私の賤の男と対峙しております 
茶摘み女およし 実は将門七人の影武者としての桜木役の春猿さんです。

イメージ 1


このお役同士で、二人が対峙しているのも、実に20年ぶりの事です。(笑)

私は20年経ちましたが 春猿さんはとても20年も経っているとは思えませんね(笑) 
うらやましいことです。