本日、無事に千穐楽を迎える事が出来ました。

これもひとえに、皆様方のお陰です。
御観劇 またご声援 本当にありがとうございました。


新生歌舞伎座 初出演 初舞台 お役が下田五郎と云う初役にして特殊なお役。
今日、無事に終える事が出来まして 正直 ホッとしております。

ある意味、毎日これほど緊張した舞台は 久しくございませんでした。



歌舞伎座の花道からの出、この出の前には揚幕の中で 今日まで台詞を小声で確認して
繰り返しておりました。

そして、一旦引っ込んで立ち回りの前には 毎日、手順を確認して
絡みの皆さんに怪我のない様に 太刀の扱いを ひとりで確認しておりました。

万一 私のミスで立ち回りの誰かに怪我でもさせてしまったら 謝って済む事ではありません

この立ち回り 手順が分かっていたとしても、毎日 出の前は
胸がドキドキしておりました。(笑)



なぜか?と申しますと、この立ち回り 私の歳になって 
毎日100メートルのコースを全力疾走するくらいの エネルギーを消耗しておりました。

立ち回りが終わって 下手に入った後は ゴールした後の疲労感で 
暫し 息を整えておりました。



アスリートでしたら 100メートルくらい走る事は、なんでもないでしょうが、
太刀を抜いてから 最後の一人(猿若さん)と対峙するまでは それほど長い時間ではありません

たった10数秒の立ち回り されどここに集約される密度の濃さは
1日の半分くらいのプレッシャーが秘められております。(笑)


毎日 スタートラインに立つのが怖かったと申しても 過言ではございません


正直25日間で 立ち回りの手順を間違えた事は何回かございましたし 
普段からの膝の感覚も 自分のものでなく 決めポーズで立てなかったらどうしよう?

とか 手を太刀の柄にかける瞬間は 毎日が祈るような感じでした。



でも、それを支えてくれたのは立ち回りの絡みの8人でした。

太刀の切り返し 反対から持って行った時にも即座に対応してくれたり
ひとつ、手を飛ばした時にも私に合わせてくれました。

もし誰かがシンで、私が絡みのひとりだったら それは当り前の事なのですが、
自分がシンで 私に合わせてくれる事に これほど感謝した立ち回りもございません


なんにもせよ 初出演 初舞台 初役 1対8の初めてのシンの立ち回り 
初づくしの歌舞伎座も やっと今日で終わり 胸をなでおろしております。

今日の写真は 立ち回りでかかってくれた その8人と私の記念写真です。

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もたつきは多少 あったにもせよ とりあえずは無様な舞台にはならなかったのでは?と
自分で勝手に思っております。(笑)



今日も家来のひとりが「猿三郎さん 今日で最後です。思い切りやって下さい!」と
嬉しい言葉を投げかけてくれました。

本当にありがとう。


で、この下田五郎 今回 初めて会社より与えられ 承諾させて頂きましたが、
一門のお芝居で今後『修禅寺物語』が上演されたとしても 下田五郎のお役は
おそらく私に回って来る事はないと思います。


その気持ちで今日の千穐楽 勤めさせて頂きました。

いくつになっても舞台に立つ事は怖い・・・。
本当に毎日の恐怖を感じる今月の舞台でした。


明日からはこのプレッシャーから解放されます。(笑)
ひと月 お付き合いありがとうございました。

一度、奇特な方は(笑)二度・・・三度?
舞台を見て下さったお客様 本当にありがとうございました。
皆様に支えられて 走りきることが出来ました。


本当に 本当に ありがとうございました。

こんなに怖かった 一か月は久しぶりでした。