今日の公演場所は ひこね市文化プラザ。ここへの出演は 私は初めでしょうか?

以前の公演は彦根城近くの彦根市民会館だったと思います。
彦根の中心部からは、かなり離れたこの会館。


今日は、巡業本隊は新幹線で米原経由 会館までタクシーor貸切バスで
乗り込むと云うコースでしたが、私は、在来線で京都から南彦根までやって参りました。

このコースに乗っかって下さったのが 猿之助さん(笑)
わざわざ、普通列車で京都から 約一時間かけて南彦根までやって来ました。

猿之助さんの他には 猿之助さんの番頭さん 段之さん 門松さんと全部で五人。


京都から、山科 大津を抜けての道中、 近くにあります 膳所(ぜぜ) 石山 三井など
『小栗判官』や『五十三驛』に 所縁の深い地名の駅に 
猿之助さんは興味を持たれていたご様子でした。

そして安土(あづち)駅を越えると 小高い山に安土城跡と云うしるしがあり 
私たちもここに安土城があったのか?と 思いがけない発見に喜びました。


新幹線では あっという間に通過してしまうところも ゆっくりと在来線に乗りますと
気づく風景もたくさんございます。



で、今日の会館。ひこね市文化プラザ、大ホール。

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特殊な形の建物で かなり広い造りでした。

この彦根の地名の由来はかなり古く 天照大神の二人の御子
天津彦根命(あまつひこねのみこと)と活津彦根命(いくつひこねのみこと)
から来ているのだそうです。

古い歴史的な事はともかく、昨日、通過しました関ヶ原の戦いが1600年。

そして秋田の久保田城同様 彦根城の建築にかかったのが1603年だそうです。
関ヶ原の合戦が終わって 徳川家康の統治が始まり 江戸時代の基盤が
着々と築かれ始めた頃なのでしょうね。 

以前にも書きましたが1603年は 京都の四条河原で、
出雲の阿国歌舞伎が始まった頃です。


彦根城の初代藩主は家康の側近 井伊直政。そして桜田門外の変で落命した井伊直弼まで
藩主は15代続き、ご子孫は、現在までもつづいておられる家系だそうです。



この彦根城ができる前は 実はこのあたりは、佐和山城として、石田三成が統治していた場所です。

昨日にも書きました司馬遼太郎さんの『関ヶ原』

「石田三成に過ぎたるものふたつ、島の左近と佐和山の城」

島左近とは石田三成の軍師でもあり 家老です。 

当時、石田三成は取り高 十九万五千石の半分を 島左近を抱える為に、与えておりました。

その三成の居城が佐和山城。 

関ヶ原の合戦では西軍の本来の総大将でしたが、録高が低い為に 宇喜多秀家が仮の総大将となり 
三成は参謀としての配置でした。

そして、味方の裏切りなどもあり 家康に散々な敗北を喫したのです。


島左近は関ヶ原にて討ち死にをし 戦場から逃亡した三成の探索の為に佐和山の城は
焼かれてしまい 家族もろとも一族郎党 子供に至るまで すべて処刑されたと云う
悲しいお城です。


その後の井伊家は佐和山の悲劇から 場所を彦根へと移し そこに城を建築したのです。

佐和山と云う地名はもう、無いのかと思いましたら 昨日在来線にて京都に到着する際 
この彦根近くで佐和山小学校と云う名前の学校もあり なにかホッと致しました。



私、どうも敗軍の将に魅かれる妙なくせがございまして(笑)
このあたりの「彦根」と云う名称よりは 「佐和山」と云う名称の方が好きなのです。

2001年(平成13年)の歌舞伎座『楼門五三桐』では私 この石田三成をモデルとした
岸田民部と云うお役を勤めさせて頂いた事がございました。

生締のかつら 織裃の姿で見得を切り 花道をツケで入る様子は
あたかも『四の切』の佐藤忠信を思わせる出で立ちでした。(笑)


新幹線でこの彦根あたりを通過する際 いつも佐和山城跡というしるしを 
一瞬なのですが 真剣に探しております(笑)

大阪から東京へ行く上り列車ですと 彦根城が見えた直後の左側に見えます。



話は違いますがNHKの大河ドラマのスタート時期
第1回目は、二代目尾上松緑さんの『花の生涯』

これが彦根藩、井伊大老の物語りでした。歌舞伎でも何回か上演されております。



行く先々の土地に色んな物語が隠されており それを感じつつ過ごすのもまた 
巡業の楽しみですね(笑) 



余談ですが 本日終演後 再び在来線で大阪まで行くのに 
タクシーで南彦根の駅へと向いましたが、駐車場でお客様の車の列と一緒になり 
駐車場を出る皆様の渋滞(笑)に巻き込まれ あわやという状態でした。

52分発 これを逃すと 1時間以上大阪着が遅くなります。

みんなで走って 乗った瞬間 ホッとした1枚です。

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猿之助さん 段之さん そして私、 荷物を持っての駅のダッシュ しんどかった~(笑)
(撮影は門松さんです)

でも本来の巡業は こうなのですよ!

こんな一瞬もまた 楽しいものです。