今日は上野の東京文化会館『夕鶴』の初日。
右近さんはおそらく、初日の舞台をご覧になっている事でしょうね。

私も先日の舞台稽古を見せて頂いたので、なんか久しぶりに自分のオペラでの
仕事ぶりを見たくなりまして、18年前のニースでのオペラ『コックドール』の
お稽古風景を撮影したビデオをひっぱり出してきて 見ておりました(笑)


こちらの『コックドール』は3代目猿之助旦那の演出では ニース公演が4回目。
この時には 猿之助旦那の監修の元、弥十郎さんの演出に 私の演出助手。
私個人といたしましては 初めて海外で関わりました オペラの作品になります。



このニースの撮影。意図的にそんなにたくさん撮影した訳ではありませんし 
細かく撮影した訳でもありません

ただ、なんとなくきまぐれにお稽古場でのダンサーたちの振り渡しや 
ニースのホテルの部屋や 劇場の近所など風景を 撮影した
昔のYHSーCの小型テープ挿入のビデオカメラで撮影したものです。


そのVHS-Cのビデオテープも この種類が無くなりそうだったので、
過去に8mmビデオにダビングした物を見ておりました。


その8mmビデオを映す、ソニーの機材はなんとか今でも所持しております。

当時としては画期的な 8mmビデオとVHSビデオが再生でき
相互ダビングできるダブルデッキ。

それを かなり古いDVDレコーダーに接続しております。

もちろんデジタルではなく アナログのDVDデッキ。

それらと別に BL-DVDレコーダーを 配線接続して
現在のテレビに接続しております。

これが壊れてしまうと この3つの機材の過去の映像が一切見られなくなってしまう
と云う年代物!!

時々は、壊れないうちに、VHSビデオや8mmビデオを 
機材の機嫌を損なわないように 思い出したように過去の映像を
ときどきダビングしております。


その後、新しく購入した当時としては最新型の8mmビデオカメラ(液晶画面付き)
のは、舞台の録画や踊りの振りの撮影 お稽古などに重宝致しましたが
10年前の、パリシャトレ劇場での『コックドール』の時に 
フランスに持っていきましたが逆に先に壊れてしまいました。
(何にも撮らない前に故障しましたのには 泣きました 
あちらは当時 スチーム暖房だったので、精密部分が露付き状態となったのです。)


その後 デジタルカメラや動画が全盛となり、VHS-Cや8mmビデオの
再生出来る器械が どんどん姿を消し ダビングがなかなか出来なくなり 
現在使用中のこのダブルビデオデッキと アナログDVDが大変貴重となり
壊れないように 恐る恐る使っている次第です(笑)


久しぶりに見た18年前の映像もかなり 痛んでおり 家人が 今これを見るなら
同時にDVDハードにダビングしておけば?と云われ、
映像を振り返りながら ダビングしておりました。

他にも こう云った映像たくさんあるのですが 時間を駆使して 
なかなかダビングと云う所まで 行きません


まだアナログでは、映像を見ながらダビングという手段も使えますが、
デジタルですと なぜか?再生同時進行録画ができず、画面が見られない事も 
多々あります。


本当に便利は不便な世の中に なりつつある今日のこの頃。
ですが、一昨日の『夕鶴』オペラの舞台稽古を見なかったら 
18年前のこのニースの映像も 今度 いつ見られたか分からない状態を
思うと 不思議な縁を 感じられずにはいられませんでした。


当たり前ですが、18年前の映像の中に 18年前の18歳分若い私が居り 
演出であった弥十郎さん 藤間微野さん(笑野さんの舞踊のお師匠さんです。) 

そこにかかわった 二度と会う事の出来ないダンサーや マエストロ 
ニースの舞台の演出部の人々の変わらぬ姿を見て 嬉しくなってしまったのは 
私も年取った証拠である事は否めませんね(笑)


『夕鶴』の舞台から 思いがけずに出会えた18年前の舞台。
そして、その一瞬を共に過ごしたダンサーさんたちと、若かった自分。

それから8年経った パリシャトレ劇場の『コックドール』では
お一人だけ、ニース公演を経験されていた ダンサーさんがおりました。
・・・一人しかいなかったのです。

たった8年なのですが、そういうものなのですね。

まさに舞台は 一期一会。

その時の舞台を構成する人間が 何年かのちに再演したとしても、
またもう一度一緒になることは ありません。

スーパー歌舞伎でさえもそうなのです。


また、同じ一か月でも、舞台を見て下さっております皆様は その時だけのこと。

その時その時の 一度一度の舞台が どれだけ大切か。一期一会ですね。本当に。