新春浅草歌舞伎 昼の部の『上州土産百両首』の上州とは 上野(こうずけ)の国。

今の群馬県あたりです。 


私の今月 勤めさせて頂いてる下っ引きの浅次。


門之助さん扮する親分の岡っ引き 「隼の勘次」の手下です。
岡っ引きの手下ですので「下っ引き」です。
テレビの時代劇でも 時々出て参りますね。

歌舞伎では それなりに 格好よく かしこまっておりますが、
テレビでは もっと 雑多な印象を受けます。

恐らく 下っ引きという存在は もともとは そんな感じだったのでしょう。
この辺りは 歌舞伎の嘘だと思って 見て下さいね(笑)

そんな 隼の勘次一家に 大事件が襲来(?)いたします。


百両首がかけられている 罪人が 江戸を目指しているとの情報に

「みすみす江戸に入られちゃあ 八州様の名折れになると・・云々」

の 台詞がございます。



この八州とは関八州(関東八州) 所謂 江戸を囲む国々。

『相模』(さがみ=神奈川)『武蔵』(むさし=埼玉&西東京)
『上野』(こうずけ=群馬)『下野』(しもつけ=栃木)『常陸』(ひたち=茨城)

『安房』(あわ)『上総』(かずさ)『下総』(しもうさ)の3つは千葉

の八つの国。



相州、武州、上州とは言いますが、

上総 下総で 上州 下州とは云わないみたいです。

どちらかというと 南総北総という言い方をしておりますね。

この言い方は、どちらかというと 現在までも 続いているような気がします。
(このあたりも ちょいとまた調べてみます。)



ま この八州 多少、現在の県とは境のずれはございますが、 
この八つの国は 江戸町奉行の「南町奉行」、「北町奉行」の管轄外ですが 
老中支配の勘定奉行配下の「八州廻り」と云う 別の警察組織の管轄でした。

余談ですが ここに別にまた 「町奉行」と並んでテレビの長谷川平蔵で有名な 
「火付盗賊改方」と云う 役職がございます。


同じ警察組織でも 管轄と申しますか。。。縄張りと申しますか・・・

そういったものがありますのは ある意味では 現在でも同じでしょうか。


管轄がありますから、現実世界ではいざ知らず・・・
テレビドラマでは まさに「ドラマ」になるのです。

警視庁と警察庁、県(府)警本部と所轄などなど・・・

まさに「ドラマ」ですね



少し、話が飛んでしまいました。



つまり、関八州とは 江戸を中心として 箱根の関所が東海道を守る為の西の要所。
(もともと「関」の東として 関東なんですから)


では、北や東は? と云う事になりますが、

家康が江戸を 大都市にした要因に 西に箱根を設ければ 
関東平野を北から東に取り巻く 自然の関所、荒川がございます。 
さらに二重の河川として 大川(隅田川)

これらにかかる橋は または渡し船が 当時 江戸に入る あるいは出る人に対して
大変、見張りやすかったのです。 


ですから江戸は 300年も平和がつづいたこの当時の大都市だったのです。 

いかがでしょうか?
少しは 「上州」が 意味のあるものとして 感じられるようになったでしょうか?


もっとも、もともと 関東にお住まいの皆様にとりましては
当たり前の事だったかもしれません(ごめんなさい)


少しでも、身近に現在の地とあてはめながら 見て頂けましたら
また 違ったものとして  見られるかも知れないかなと・・・

それにしても、今なら ほんの数時間で行けるこの距離。
この当時は どのくらい かかったのでしょうか。


その現在の位置関係を踏まえたうえで、当時の距離感も感じて頂ければ幸いです。