ここのところ、『鳴神』について 書かせて頂いておりますが、
もう少し お付き合いくださいませ。
昨日のブログでも書きました『鳴神』は鳴る神。


しかし、歌舞伎十八番の本外題は『雷神不動北山桜』

この『雷神』で、「なるかみ」と読ませております。

所謂、上人の名前が外題ではなく、雷(かみなり)の事が外題となっております。


古き時代、ま 現代でもそうですが、自然現象を自由自在に、
操る事ができる様になれば 鬼に金棒ですね。


でも現代ですら、異常気象を元に戻す事が出来ません 台風 地震 大雨 洪水 等々、
日照りの時に雨を降らし 台風の進路を変えて 回避したり 消滅させたり、
様々な災害のニュースを見るたびに そんなことが出来たらいいのに
と思ってしまうのですが、現在のところは 科学がいくら進歩してもできず 
夢のまた夢でしょうね。


鳴神上人が龍神を封じ込めて 雨を降らさないようにした演出は、そう云った人々の
自然現象に対する願望が入って 歌舞伎になったのかもしれませんね。


この『鳴神』お芝居では四段目で 三段目が粂寺弾正の登場する『毛抜』
五段目 大詰めが『不動』と云う事になります。


面白いのは、ここ何年も登場しておりませんが、雲の絶間姫に術を破られた 
鳴神上人が鬼の形相になって 雲の絶間を追い掛けて行こうとした時に、
六法で飛び去らず、押し戻しが出て来て 舞台で幕になる演出がございます。


この時に押し戻しとして登場するのが、久米寺(粂寺)弾正。

そう、『毛抜』に出て参ります あの 粂寺弾正なんです。

これも、今ではそれぞれ独立して上演されることの多い、この二つの狂言が 
同じ狂言から 出ていることを知らなければ どうして出てくるのかが
まったくわからないでしょうね。


私も実際には見た事がございませんが、1956年の明治座での
梅幸旦那の雲の絶間 9代目海老蔵(後の11代目團十郎)旦那の鳴神上人に 
羽左衛門旦那が 押し戻しの久米寺弾正で登場致しております。

この演出 何年も出た事はございません


これはある方が「『鳴神』のブログがまだ続くなら 持ちネタ提供!」と

電話で教えて下さいました。
ありがとうございました。(笑)