お待たせ致しました。いよいよ『鳴神』の解説です。

以前に書いた副題より さらに付け加えるなら

ロマンシング・アドベンチャー・ミステリー歌舞伎(R18)

『美しき女スパイに課せられた、密命とは?単身敵地へ潜入 その極秘任務』

ミッション・インポッシブル風歌舞伎。


こんなところですね(笑)



番付にも詳しく書かれてございますが、『鳴神』の時代背景。


京都の朝廷は 帝のお世継ぎとして 一番近い地位にある早雲の王子は
何かと問題がございまして 位を継承させたくない。

それでは・・・と

実は、女の子で生まれる筈であった陽成天皇を 鳴神上人の力で
男子として誕生させ 帝の位につけてしまいました。

(史実ではなく、全くの歌舞伎の物語ですので お間違えなく・・・)


その見返りとして鳴神上人は、朝廷へ戒壇建立の願いを立てていました。


しかし、事が成就したにもかかわらず、朝廷は上人との約束を守らず、
無視しておりました。


ここに、陽成天皇が男と生まれず 女であれば、自分が帝になれた筈の 
もともとの皇位継承者(であったはず)の 早雲の王子が
鳴神上人をそそのかし 結託して三千世界の龍神を
京都北山の瀧に封じ込め 雨を一滴も降らなさい行法をかけます。


ここまでが『鳴神』の舞台が始まるまでの 物語です。


一部は 私たち 白雲&黒雲 が 台詞で説明してますので、
これからご覧になられる皆様は 頑張ってついてきてくださいね(笑)



慌てた内裏は、雲の絶間と云う大内(おおうち=朝廷)第一の美女(たおやめ)に
申しつけて 如何なる手段を用いても 鳴神上人の術を解けと 言渡します。


そこで、女スパイ 雲の絶間は色仕掛けで 上人に近づき 

・・・まさに 平安版&女性版007の活躍をいたしまして

(このあたりは 皆様ご存じのとおり。ご存じない方は舞台でお楽しみください)

上人の行法を悉く 打ち砕きます。


そして瀧に張られた〆縄を切って落とし 龍神を開放して雨を降らせて
ミッションはコンプリート致します。(笑) 


怒った鳴神上人は鬼の形相となって 弟子たちを振り払い 
雲の絶間の姫の後を追って行く

と云う なんとも分かりやすい歌舞伎です(笑)



どんなに修業しても 女の一撃には勝てないと云う 
哀しい男の性(さが)・・・(笑)

でも 何となく 分かる様な気がする戒めの歌舞伎ですね。


と、書いてしまうのは 私も男性だからこそ。


これを こちらのブログにお越しの皆様のほとんどの・・・
女性の目から見たら どんな形なんでしょうか。

絶間の姫を「よくやった!!」と賛美するか、
鳴神上人を「あ~ぁ 修行したのにあほやなあ」というか・・・(笑)

それとも、全く別の感想を持たれますか。

ちょっと興味ございます。