穂の国とよはし へ やって参りました。

劇場の名前も穂の国とよはし芸術劇場。


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大きな建物で JR新幹線 在来線豊橋駅から劇場まで バルコニーロードで
直結しております。

ですが、客席数はそれほど多くなく 700席くらいでしょうか?

舞台から見ると1階 前列から段々登る様に 客席があり 2階席になろうか? 
というあたりまで 短い本花道がございます。
(写真を撮れば 良かったですね・・・)


短いですが 所謂 我々で云うどぶ席と云う 座席もあり 舞台から見ると客席は
かなり近くに感じます。(笑)

4月がこけら落としだったそうですが、今までは 音楽会や講演会などで
本格的なお芝居の公演は初めてで それが歌舞伎だった云う事で 
座つきの大道具さんたちも かなり緊張しておられました。(笑)

でも 新しくてとってもいい劇場でした。 




話は変わり今日のブログは、少しジャンルの違うお話となりますが、
詳しく分析と云う事ではなくて あくまでも舞台上で と云う事で 
お許しを願います。


ある方から、『毛抜』の私 秦民部が 錦の前の病気に対して 
光明真言の呪文を唱えますが 本当に真言の言葉ですか? と お尋ねを頂きました。


私も、すべてを知っている訳はございませんが このお役と 台詞を読んだ時に
私なりに調べた事と 聞きかじりを ここで書かせて頂きます。


これは、決していい加減なでたらめの呪文ではなく、列記とした光明真言の呪文です。

但、本来は古代インド語の発音 サンスクリット語で 日本では梵語と申します。
それを書いた字を梵字と申します。

以前このブログでご紹介をした 歌舞伎十八番『勧進帳』の弁慶の衣(ころも) 
黒地に金字で書かれている柄が この梵字です。

詳しくは当時のブログを・・・(笑)



そして私が唱えている呪文。

「おんあぼきゃあ べいろしゃのまかぼだら しまのはらはりたや そわか そわか」

発音としては 古代の言葉ですので 文字にしてこれであっているかどうかは 
わかりませんが ある程度、確かではないかと思います。


「しまのはらはりたや」 と申して居る所が ある書によりますと 
「じんばらのはらはりたや」 と 書かれているものもあり 
また「まかぼだら~ しまのはらはりたや」の 間に 別の文句が
入っている物もございます。

舞台での事ですので、全文を唱える訳にも行かず 省略の部分もあると思います。



私と致しましては 一応 台本の通りに また先の役者さんたちが
申されているように 発音して居るつもりです。

(むずかしいんだ~ これが・・・。

 初日近辺は、耳に馴染がないので 文句が 本当に浮かんでこないのです・・・笑)


意味としては おん おぼきゃあ べいろしぁのう と ひとつづつの解釈が
あるみたいですが、それを書き始めると 正直 切りがありません(笑)



説によりますと 光明真言の文字は梵字で23文字。


「心からお願い致します、宇宙に遍満し常住であられる大日如来よ、
 
その偉大な誓いを示す悟りよ、智慧と慈悲の掬いの光明を差し伸べて下さい。

是非ともお願い致します。」と こう云った様な意味になるそうです。

舞台上では 私 そのつもりでこの呪文を唱えております。


本来の修業をされている真言宗のお坊さんからすれば、 
舞台上でのこう云う言葉は 本物ではなく ある意味トンチンカンなのかも
しれませんが どうか歌舞伎の舞台上の事と お許しを頂きたいと存じます。


でも、決して趣旨と致しましては、ふざけたものではなく なぞらえていると
ご解釈頂きたいと存知ます。


市川團十郎家は 成田山新勝寺の檀家でございますから、こう云った真言密教、
般若心経の御経等を 歌舞伎に取り入れたのだと思います。


昔をひも解けば 雅楽や神事 お祭りと云ったものも ある意味 
宗教的な文化の発展でした。

ですから歌舞伎も 宗教的な要素が多分にあっても不思議ではないのですが、
現在では歌舞伎と云う文化と 宗教と云う物は別角度での楽しみ方が
通例でございます。


そのあたりをお汲み取り頂き 歌舞伎を楽しんで頂けたらと存じます。