今日の公演は、南相馬市民文化会館です。

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ホールの名前は ゆめはっと!

東日本大震災後、被災地での歌舞伎公演は 何回開催されたのでしょうか?


昨日、盛岡の岩手県民会館の公演終了後、盛岡駅発、最終のはやてで
仙台へ入り 今朝はここからバスで 南相馬に向かいました。

行きは約2時間。

そして 南相馬の公演終了後は 再びバスで郡山へ向かいます。
その行程、約3時間。 

公演時間よりも長い バス移動時間です(笑)



震災の影響でしょうか? 
まだまだ このあたりの交通手段が万全でない事が つらいですね。

いえ、私たちがつらいのではなくて そこで生活されている方々が 
つらい事でしょう。


でも そんな方々に歌舞伎を見て頂いて、元気を出して頂けたら
こんな嬉しい事はありません


今日は開演前に舞台上で 歌舞伎関係者有志から 南相馬市に対して 
寄付金の贈呈式が ございました。

代表して中村梅玉丈が 南相馬市の方々に手渡しされました。

梅玉丈のご挨拶として 

「この一座の、本当にささやかな気持ちでして 寄付とか そういうものではなく
 些少過ぎて 恥ずかしいくらいです。 でも 何かのお役に立てて頂ければ・・」

と 云われた言葉が 私には却って 素晴らしいご挨拶だなあ と感動致しました。 

舞台上では記念撮影もされましたので 、その写真はどこかのページで・・(笑)   


今日の歌舞伎の舞台に立つみんなも 頑張らせて頂きました。
お客様の反応も 本当に楽しんで頂いて居るようで 私たちも安堵いたしました。




そしてその舞台の中には こんな彼も・・・・。


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彼の名前は 市川喜楽くん 21歳です。


今回は腰元役での登場ですが、本来は立ち役で 初舞台は、今年4月のこんぴら歌舞伎。

ですから歌舞伎俳優になって まだ3ヶ月の新人若手です。


4月 初舞台での出番は、右近さんの『京人形』での大工での立ち回り。

彼、180センチを超える長身ですが、なんと、返り越し(超難度のトンボ返り)を
軽々とこなしてしまう 抜群の運動神経の持ち主。

現在の月乃助さんも 名題下であった時代に あの長身で返り越しを難なく
決めておりましたから、それに続く 期待されるエリートです。



喜楽くんの歌舞伎入りの経緯が とても特殊ですので 
少しここでご紹介致します。(笑)


彼 関西の出身で、たまたま見ていた明石屋さんまさんの バラエティテレビ
『明石屋電視台』(あかしやてれび・・と読みます 関西の人間には当たり前・・笑)

に ゲストとして登場した春猿さんに憧れ 春猿さんの事を色々調べたそうです。

この時18歳!!


国立劇場歌舞伎養成所出身 おもだかや一門の花形と云う事を知り 
その養成所に自ら志願して入り、今年3月に第20期生として卒業すると、
すぐに 春猿さんに会って 許しを貰え 入門したのです。

本来は立ち役の彼ですが、春猿さんのお弟子と云う事で 
今回は、『毛抜』に於いて 女形の勉強を致しております。

自らの夢を実現させて 歌舞伎入りした変わりダネ!(笑)

でも やっとスタート地点に立っただけで 本当の夢はこれからです。


今回は『毛抜』の腰元として 錦の前の後ろに登場するだけですが、
彼が色んな舞台で 本領を発揮するのも そう遠い事ではないでしょう!!

市川喜楽 

このような若い人たちが このおもだかや襲名披露公演に加わっているのも、
嬉しい出来事です。

一歩一歩、昨日よりも前に、そして明日は今日よりもほんの少しでも前に
そうして、一日一日を前を向いておりましたら、ふと気が付いたときには
進んできた確かな道のりが きっと見えることでしょう。


南相馬の皆様 東北の皆様  そして 若い後輩

私も 及ばずながら 応援しているのですが、
実はその皆様の姿を見て 反対に勇気をもらっているのは 
私のほうかもしれませんね。


明日も 福島県。須賀川市での公演です。