現在 テレビではサスペンス劇場 ミステリー劇場などの番組が流行り、
名探偵にも事欠きません


古い所では明智小五郎 金田一耕助 新しい所では 浅見光彦 十津川警部 等々。

こんな人たちが、現在 巷で起こっているミステリアスな事件を 
解決してくれるといいのですのにね(笑)

ん?十津川警部は探偵ではありませんね(笑)
それでは 私お気に入りの 石原明子にしておきましょうか(笑)
ついでに 江戸川コナンもいれておきます。




今 巡業公演で上演している『毛抜』と云うお芝居も こう云った意味では、
サスペンス&ミステリー歌舞伎とでも 申しましょうか?(笑)


文屋豊秀の婚約者である 小野家のお姫様 錦の前が ある事件に巻き込まれ
陰謀の被害者になってしまいます。

が、それは本人も周りの人間も 気が付いておりません。


両家の結婚を快く思っていない人物に 策略を持って訳の分からない業病に
かかってしまったことに されてしまいます。



ここで登場するのが、御主人 文屋豊秀に頼まれて 調査に乗り込んで来る 
右近さん扮する所の粂寺弾正(くめでら だんじょう)。

弾正と云うのは名前ではなく 役職の名前です。


『伽羅先代萩』の仁木弾正『加賀見山再岩藤』の望月弾正
『加賀見山旧錦絵』の剣沢弾正。

こう云ったお役と同じです。


たとえば 大岡「越前守」忠相(おおおか えちぜんのかみ ただすけ)の
「越前守」の部分が 「弾正」なのです。



ちょっとばかり 歴史的なことを語らせてもらいますと(笑)
弾正というのは、もともとは「弾正台」という役所からきております。


名前として呼ばれておりますからは 本来の古代からの意味で考えますと
「弾正尹」(長官)、「弾正大弼、弾正少弼」(次官)など、弾正の後に
役職を示す言葉が もう少しつくはずなのですが・・・

官位制度が形骸化しておりますので、それは 名前(呼び名)の一つに
なっているということで、いいと思います。

先の 大岡忠相も「大岡越前」と呼ばれてますよね。
それと同じです。



難しい話になりました(笑)すみません。

では、この「弾正」台 という役所は 実際には何をしていたのでしょうか?



答えは!

律令制下では「監察・警察」の役割をしていたのです。

「粂寺弾正」
まさに、ミステリーを解き明かすには ぴったりの名前です。


さらに、実際に調査に乗り込んで来るのですから 今でいうところの
警部でしょうかね(笑)



この粂寺弾正 ただ者ではありません

お芝居の題名にもある『毛抜』によって 錦の前の作られた業病を
見事な推理で見抜き、騙りに来た万兵衛を 奇策を持って成敗し 
悪事の根本を断ち切って 

小野家に降りかかった難事件を すべて解決して 悠々と帰って行く。



サブタイトルをつけるなら 

『痛快娯楽サスペンス&ミステリー歌舞伎十八番。

 お姫様の恐怖に迫る事件の謎をすべて解き明かす 名探偵 弾正 登場!!』 

と云ったところでしょうか?(笑)




そしてこの粂寺弾正。 

お殿様に謁見する控えの間で(まず場所がここですこと・・・おいおい!ですね) 
私、民部の弟 春猿さん扮する 秀太郎を 馬術の指南と云っては 口説き 

お茶を持ってきた笑三郎さん扮する 腰元 巻絹を色仕掛けで迫り 

男でも女でも どちらでも良いと云う? 豪傑!
現代風、両刀使いなのです(笑)


この二人を 口説く時の台詞 とても意味深なので よくお聞きください。
かなり際どい(ここでは書けないくらい)Hな事を さりげなく台詞にしておりますから 




ここでちょっと・・・・

お芝居を見られるときには、そのままの台詞を そのまま右から左に聞かれていると 
面白くも何とも ありません(笑)


歌舞伎の台詞や唄などは 男女の恋や艶話を 物語にしております。

『四の切』の幕開きの黒御簾の唄 これなども よく聞かれると
え~!! そう云う意味かあ~!! と 思われると思います。


それだけではありません。本当に いたることろに !!! なものがございます。

台詞も、唄も ちょっと耳を傾けてみてください。

なんでもないところで、ビックリするような発見が・・・あるやもしれません。


皆様も 探偵気分で 歌舞伎の随所に散りばめられました 遊びや色を 
解き明かしてみるのも 楽しいかもしれませんね。