今月の博多座。

古典歌舞伎とスーパー歌舞伎のコラボ。 楽屋ではこう云う事も!!


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この写真は猿之助さんの楽屋の入り口です。

刀掛には6本の刀が 掛かっております。

(この後、一応 とりあえず刀と剣と 両方の名称を使わせて頂きます。)


上から『四の切』の佐藤忠信が花道から登場する時に持っております大刀と
腰に差しております小刀。

楽屋においては、白柄の為に汚れないように 紙が捲いてございます。



その下がヤマトタケルが伊吹山の山神と戦います時に使用する黒の剣。

3幕1場(尾張の館)で、草薙の剣をみやず姫の元に 置いて参りましたために 
この刀で山神と戦う事になります。

(2本ありますのは 1本は立ち回りの際に折れた時の為の予備です。)


次が1幕4場で熊襲館に向かう明石の浜で差している剣。


一番下のが、天の叢雲の剣(あまのむらくものつるぎ)
後の草薙の剣(くさなぎのつるぎ)


もちろん みな小道具です。



ここで、ご注目頂きたいのは、『ヤマトタケル』は古代のお話。



この時代は本来は青銅の武器から、鉄の武器にやっと移った時代。

ですから鉄を使えたとしても まだ鍛えると云う術がそれほど充実しておりません


ご覧ください。

下の4本の剣は所謂 直刀と呼ばれ反りがございません

天の叢雲の剣は神事により スサノオノミコトがヤマタノオロチの腹から
取り出したと云われる伝説の剣ですので 鉄の鍛えと云う物があるかないかは 
正直わかりません



刃は一応 諸刃になっておりますが、この時代の剣は 斬ると云うより 
重さでたたき割ると云う方が正解に近いでしょう。


ですから1幕で、吉備の国のタケヒコ(右近さん)は
当時まだ鉄の剣の無い熊襲へ、貴重な鉄の剣を
使者を通して土産として差し入れたのです。


蝦夷のヤイレポ ヤイラム兄弟も武器はまだ一昔前の青銅なので 
ヤマトタケルの鉄の武器には叶わず
剣自体が 斬り割られる場面が初演にはございました。



古代の鉄と青銅の刀。


昔々 歴史の時間に「青銅器時代」「鉄器時代」と習ったことを思い出します。

区分としては そうなるのでしょうが 広がり、伝播という意味では、
この「ヤマトタケル」の時代が ちょうど 過渡期だったのでしょう。


それに比べて 刀掛の一番上と二番目の忠信の大刀 小刀は 
所謂 刀ですので、 鉄で熱いうちに打って 鍛えに鍛えた刀。 

銘刀です。


ですから、斬ると云う作業を目的として居るために 反りがございます。


これも古典とスーパーの両方の歌舞伎を上演する 面白さでしょうね(笑)


明日は、もう少し深く掘り下げて 太刀と刀の違いあたりも ご紹介致しましょう。


ので、詳しい方、おられましても 細かいつっこみは 明日以降に(笑)