毎回『ヤマトタケル』の話題で恐縮ですが、猿之助さんがこの演目を 
襲名披露公演で上演されるのは 今回で3ヶ月目。

でも今までの昼夜同一公演と違い、過去三回の公演 昼の部か 夜の部か、
私たちで云う 片道公演。

ですから、猿之助さんの上演記録としては今月が終了しても 
75回程にしかなりません



同じく襲名狂言の中車さんの『小栗栖長兵衛』は4都市にて上演いたしまして
今月が終了すると 100回を超える事になります。

昨年 飛び込んで来られた、新人の歌舞伎役者としては 
驚異的な上演回数ですね。

当り役狂言として 100回を超えるか否かは 一つ重要な区切りです。
(普段の興行では、ひと月が25回。100回ということは4か月分です。
 スーパーの場合は、昼夜公演で二か月公演だったりしますので、
 二か月が終わると70~80回になります)
 

しかしながら、さすがに今回の『ヤマトタケル』の猿之助さん


私、今月、初めて尾張の国造として同一舞台に立たせて頂いておりますが、
今までのスーパー歌舞伎の『八犬伝』『オグリ』『三国志』シリーズなどで
ご一緒した 亀治郎時代とは 明らかに違います。


例えて言えば 3幕の尾張の場面では 猿翁旦那と対峙している様な大きさが 
今の猿之助さんに 現れました。

襲名と云う事は こう云う事かと凄く納得する場面となりました。


猿之助さんの顔を見て 台詞を言っていると、初演当時の猿之助(猿翁)さんを 
彷彿させます。


とても目が いつもの猿之助さんとは違い、どこか近寄りがたく 怖いのです。
(・・・と云う 表現になってしまうのですが・・)


猿之助さん 大きくなられました。 
舞台に於いては 近寄りがたい存在になって来られました。

もちろん、こんぴらの時の豪華絢爛妖怪絵巻や 楽屋に於いては
いつもの猿之助さんですが・・・(笑)


普段と 普段である普段が いつもと違う時、皆様にもそんな時がありませんか?

今日はそんな一瞬を切り取ってみました。

この写真は『ヤマトタケル』開幕直後の楽屋。

イメージ 1


みんな舞台に出払っており、楽屋にも廊下にも 誰もおりません
(私は2幕からの出番なので おりますが・・笑)

この後はみんな、忙しさに 走り回っておりますが 
強いて言えば嵐の前の静けさ(笑)

そして 面白いのが 楽屋の廊下に並べらている女形のかつら。

イメージ 2



上は夜の部の古典狂言『四の切』で使う腰元の文金のかつら。

下は昼の部『ヤマトタケル』尾張の館で使う侍女のかつら。
(一番奥のは 尾張の国造妻段之さんのかつら)


役的意味合いは同じですが、どうです? 
これだけシンプルさと装飾が違うのですよ。


普段が普段でない 狂言のふたつのかつらの対比。 

これも面白いかと?(笑)