ある催し イベントの狭間の日ですが、やはり本編は 金丸座、こんぴら歌舞伎。

一昨日は 三段目を少し詳しく 解説致しました。


話は、前後いたしますが、今日は今回のお芝居の前の段 二段目のお話を
少し詳しく書かせて頂きます。


前九年の役で 貞任 宗任の父 安倍頼時を討ち果たした源八幡太郎義家は、
源氏の威光と武運長久を祈って 千羽の鶴に黄金の札をつけて放します。

そして決して この鶴を殺してはいけないと云う お触れを出します。


一方、貞任と袖萩の間には 三段目に登場する娘 お君とは別に お君の弟にあたる
千代童と云う 男の子が居ります。


盲目となった袖萩が育てられるはずもなく 幼子の千代童は 貞任の家来、
善知鳥文治(うとうぶんじ)と 女房お谷に預けられております。

しかしこの千代童、傷寒熱で重病を患っております。


貧しさゆえに高価な薬を買う事もならず、夫婦は金貸しの南兵衛から、金を借りますが、
返済も滞っております。

万策尽きた文治は 義家の鶴に目をつけて鶴を殺し、金札を奪います。


そんな中、南兵衛が返済日を迫り 文治の住家に押し掛けて参ります。


鶴を殺した者が誰か 知っている者が代官所へ訴え出れば 褒美の金が出ると云われ、
文治は女房お谷に 手紙を持たせます。


手紙の内容は南兵衛が、鶴殺しの犯人だと書いてある と文治は言い お谷は
それを真に受けて 代官所へ走ります。 

しかしそこには 文治こそが鶴殺しの真犯人で、それを知らせたお谷に
褒美の金を与えてほしいと 書いてあるのです。


もちろん その褒美の金で千代童をお医者に見せて薬を買おうと思ったのですが、
文治を捕えに代官所の役人たちが住家に現れます。

そして文治を捕えようとする様を見て 千代童は重病である事も顧みず 
泣き叫び、ついに千代童は息絶えてしまうのです。


囚われの身となりながらも 主人の子、千代童を死なせてしまった文治は愕然となり、
お谷が泣きすがる様にも関わらず、代官は鶴殺しの科人、文治を連れて行こうとします。


それを奥で聞いていた南兵衛が「鶴を殺したのは私だ、連れて行くなら私を連れて行け」と 名乗って出ます。

この南兵衛こそ貞任の弟、安倍宗任だったのです。


奥で聞いていた宗任は、善知鳥文治が貞任の家来で 千代童は貞任 袖萩の間の子と
知ります。

そして鶴殺しの犯人は 八幡太郎義家の元へ連れて行かれ厳しく 詮議をされると聞き
義家に近づく絶好の機会とばかり、文治の代わりに捕えられて、環宮明御殿に
連れられて来るのです。



ここまでが『奥州安達原 二段目』のお話で これが一昨日の三段目に
繋がっていくのです。 


どうです? だいぶお話の流れが 見えて来ましたでしょうか?(笑)