昨日までの『奥州安達原』の説明で、人物関係や時代背景が 
ややこしくなられている方が 多くおられるか(笑)と思いますので、
4月のこんぴら歌舞伎での配役を あえて交えながら ご紹介して参ります。


今回 4月 四国こんぴら金丸座で上演されるのは『奥州安達原』の三段目、
いわゆる「袖萩祭文」と呼ばれる場面です。


前九年の役で戦に敗れた 父 安倍頼時はもう、登場致しません。

登場致しませんが、色んな人々の台詞に登場するので、その事だけはご記憶下さい。


そして主人公は 父 頼時の復讐を誓う安倍貞任(あべのさどとう)
この役を 猿之助さんが勤められます。


もう一人 頼時の息子、貞任の弟 安倍宗任(あべのむねとう)を 
愛之助さんが 勤められます。


この二人に敵対する源氏の大将 源八幡太郎義家を 門之助さん 

安倍 対 源の 二代にわたる戦いの後半戦(子世代)が
展開されるという 構図です。(かなり大まかですが・笑)


そして三段目 もうひとりの主人公 題名「袖萩祭文」の袖萩を演じますのが、
猿之助さん


貞任妻の袖萩の妹 敷妙は三段目の前半には登場致しますが、
今回の「袖萩祭文」の部分は三段目の後半だけですので、登場致しません 
後半だけでも一時間半を超える 長いお芝居です。





そうです! 猿之助さんの袖萩。 

この人は・・・


子供二人が居りながら 貞任に捨てられ 泣きつぶれて盲目となり 
娘、お君に手をひかれながら 祭文を唄い 銭を稼ぐ、もの貰いに 
落ちぶれ果てております。


ですが父親 平傔仗直方(たいらのけんじょうなおかた)の 
切腹の危急を知り 館に駆けつけて来るのです。


袖萩の父 平直方は 朝廷方、源氏方の武将。袖萩の元夫の貞任とは敵関係。



この袖萩と貞任を早替りで 二役を猿之助さんが演じ分けられるのです。


さて、どうして 袖萩の父直方が切腹するのか、
そもそも、いったい何があったのか。

モチロン それだけでは「お話」になりません。


実は・・・があるのが 歌舞伎の「当たり前」

その黒幕はいったい誰なのか?


これこそが 歌舞伎の見せ所ですが・・・


答えをご存知の方は ニヤリ としてください。


20年位前には 本当に何度も 今の猿翁旦那によって上演されておりましたが
最近は めっきりと 少なくなってしまいました。


あらすじもご存じない方が 多いと思います。
謎解きをしたいのは 山々なのですが・・・

ですが、あえてこの解説は しないでおきます。

どうか、実際に舞台にて ご覧になってくださいませ。



袖萩の父 平傔仗直方には猿弥さん その奥方 浜夕に竹三郎さん


こう書きますと なんとなくお役の印象がお分かり頂けますでしょうか?



『奥州安達原 三段目』上演される場面の前半は哀れに 後半は貞任で豪快に、

これ以上書きますと ネタばれにもなりかねません

ここらあたりは 四月のこんぴら歌舞伎で 存分にお楽しみください。


そして この後がいよいよ 『黒塚』に繋がります。(笑)