来月、名古屋御園座公演の襲名披露狂言に、猿之助さんの『黒塚』が入っております。

昨年7月の新橋演舞場で すでにこの『黒塚』を勤められました。

来月の公演では2度目と云う事になります。


この2度目と云うのは、やはり気持ちの上で かなり違う物でして、
中車さんの『小栗栖長兵衛』も先月 松竹座の公演では2度目でした。

やはり気持ちも楽になり 昨年6月の新橋演舞場での『小栗栖長兵衛』よりは
演じられていて 私たちも余裕が見られました。


それからすると、猿之助さんの『吉野山』や『四の切』は
もう 何回も勤められていて、余裕どころか、すでに舞台に滲み出てくる
凄さみたいなものを 感じられる様になって来られました。


猿翁旦那は両方とも1000回を超える上演記録をお持ちですが、
当時の私たちが拝見すると 逆に凄さを通り越して、
当たり前 自然のように見えておりました。

忠信=猿之助(猿翁)『義経千本桜(忠信編)』は、旦那の代名詞のようでした。


ですが、体を壊され 見る事が出来なくなってからは、
見る事の出来ない寂しさを感じておりました。 


『吉野山』『四の切』は他の俳優さんたちも、もちろん上演されておられ
それはそれで 持ち味はあるのですが、やはりどうしても 猿翁旦那を
追っかけてしまうのが、私のこだわりの様なものです。

一度身に沁み込んでしまったものは なかなか離れません。



そう云った意味で 今の猿之助さんが 当時の猿翁旦那の演目の凄さに 
追いついて来られたのは 嬉しい限りです。

私が猿翁旦那の『黒塚』を 初めて見たのが猿翁旦那33歳。私が20歳。

来月の猿之助さんは37歳でしょうか? 

これから円熟期に入って行かれる『黒塚』楽しみな演目です。


そして4月には、四国こんぴら歌舞伎で『奥州安達原』も上演されます。

『黒塚』と『奥州安達原』とのつながりも 明日のブログでご紹介致しましょう。