今月の松竹座『寿初春大歌舞伎』に於いて 襲名披露の他に

5人の新名題のお披露目が行われております。


一門の弘太郎さん 喜昇さん 笑野さん 猿紫さん そして片岡千寿さん


弘太郎さんは 部屋子待遇ですから すでに名題部屋にも入っておりました。


後の4人のうち 千寿さんは昨年12月の 京都顔見世興行で 一足早いお披露目が

行われ 大阪はふた月目にあたります。


そこへ行きますと おもだかやの残りの3人は 今月が初めての新名題のお披露目。


名題下と名題の待遇。 これは正直に申しまして 様々な所で 天と地ほど違います。


お相撲さんが 初めて十両に昇進した時が 一人前となり 一番嬉しいそうですが、

歌舞伎でも名題に昇進する時が 一番嬉しい時でしょう。


私が名題に昇進致しましたのは もう15年前。 

名題試験に何回も 不合格となり やっと昇進した時は それでも45歳の時でした。


今回の新名題さんは それからすれば みんな本当に若く 不合格の経験もなく、

うらやましい限りです。 


私の時は、平成10年7月歌舞伎座、7人が同時名題昇進と云う時でした。

右近さん 猿弥さん 笑也さん 猿之助(当時 亀治郎)さん 笑三郎さん


それに 私と欣弥さん で7人。


本来 名題下から昇進したのは この二人だけでした。

やはり嬉しかったですね~。



名題になると、まず違うのが、会社から来月や再来月の お役の相談があり

返事をさせて頂くと そのお役が決まります。これを「役おさめ」と 申しますが、

名題下の時は 稽古場へ行って 張り出してあるお役を見るまで 自分が何のお芝居の

どのお役なのかは? お稽古場に入ってからでないと わかりません


それと、もちろん楽屋が 大部屋から 名題部屋と云われる所に変わり、

化粧前 自分の鏡台を使用する事ができます。 

そして自分の座布団を敷いていいのです。


皆様から見ると そんな事か!!くだらないなあ~ と思われるかもしれませんが

歌舞伎はある意味 差別の世界!! 

それを年月をかけて 一段ずつ上がっていく事が修業です。


そして何より 一番嬉しいのが 自分の入っている名題の楽屋に 自分の名前が入っている

御贔屓から頂戴した 暖簾をかけていいのです。


でもこれでも まだまだ一つの階段を 上がっただけ!! 

上を目指して 新名題さんは さらに頑張って貰いたいものです。



今日の写真は おもだかやの3人の新名題さんたちが 頂いた暖簾。

本来でしたら、ひと月かけてあるか 中日で替えるか なのですが、新名題が4人の楽屋。


千寿さんは 今回は他の3人に譲り、おもだかやの3人が 交代で暖簾をかけております。


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3人 それぞれ個性的な暖簾の柄ですが、 送り主は おひとり!!


二代目 猿翁旦那からです!!


これも3人が 如何に期待されて居るかが 分かりますね!!


これもまた、うらやましい 限りです!!(笑)