『小栗栖長兵衛』 中車さんもだいぶ余裕が出て来られ、 

毎日の舞台のみんなとの息の合い方、また違う息の時のフォローの仕方が

慣れてきたように思います。


寿猿さんの時々の台詞の暴走?迷走?なども なんとなくお客様に

分かってしまうような 分からない様なお芝居の進み方に、

出演者も顔を ほころばしながら 毎日の舞台を勤めております。(笑)



今日は堀尾茂助役の翫雀さんが 詮議の場面で突然 猿弥さん扮する僧 法善に

問いかけられ

「和尚 そちの名は何と申す?」

「正直に申せ、本当に竹槍の部類で 槍を突き出した者を知らぬか?」

「嘘を申すと 後に個別に呼び出して 処罰を与えるぞ!!」

などと、台詞で問いかけられ 猿弥さんの返答に 私たち土地の人々は 

土下座をしながら みんな必死に笑いを 堪えておりました!!(笑)



これは 翫雀さんの所謂 遊び心ではありますが、お芝居の中ではなくてならない事。、

これに即座に お芝居の中でお芝居の人物で 返答しなくてはなりません


かって昔は 大幹部さんの突然の問いかけに 見事返した人が、名題昇進となったと云う

謂れのある作業で、 さすが成駒屋の血筋と おもわれる一幕でした。


猿弥さんの返答は ある意味合格でしたが、 ある意味半分落第?(笑)


番付に書かれてある自分の名前とは 全く違う名前を 即座に答えてしまったと云う

周りの人間が受けてしまいました。(笑)


でも、その場にいる人たちが、その時のその人物になりきらねばならないと云う

姿勢を 改めて感じさせて下さる ひと幕でもあり 翫雀さん お見事!! と

云うほかは ございませんでした。


毎日 勤めているお芝居が 逆に新鮮で 緊張して 

まるで 別のお芝居のように感じさせられました。


幕が閉まり 楽屋や翫雀さんの周りでは 笑いが絶えませんでした!!(笑)

ひと時 の刺激を与えて下さった翫雀さん ありがとうございました。


歌舞伎でのこう云う場面 所謂 アドリブとは云わず、入れごと、と申します。


決してふざけている訳ではなく お芝居を壊さず、そして毎日演じている人からすれば、

突然の別のお芝居。


お客様には、お芝居として差しさわりがなく 自然に流れているように見えて、

出演者は逆に緊張する場面!! 


果たして もし毎日ご覧下さって居るお客様がいらしたとしても 今日の入れごと 

分かりましたでしょうか?(笑)


明日は、もちろん もう無いと思います!!



今日の客様で もし分かられた御方 ラッキーでした!!

「これだから、初春芝居は やめられねぇわい!!」