今日の昼の部の『楼門五三桐』には 猿翁旦那 真柴久吉役にて

復活出演されました。 夜の部の口上も出演の予定でしたが、

あまり無理をなさらずに、との周りの配慮で 口上は大事を取られました。




今月の松竹座 昼の部 一番目の演目。『正札附根元草摺引』

猿弥さんの曽我五郎、笑也さんの小林朝比奈 妹 舞鶴。


この演目は、曽我物と云われ 『三番叟』同様 お正月狂言として、

色んな劇場で色んな人たちが 踊られております。



曽我物は所謂 おめでたい狂言として この『草摺引』に限らず 

今月 浅草公会堂でも出ている『寿曽我対面』なども 必ず 

12月の顔見世や お正月に持って来られる 狂言のひとつです。  


猿弥さん扮する曽我五郎は変わらないお役ですが、相手役に、

立ち役が勤める場合は小林朝比奈と云う 実在の人物で演じられ、

女形が勤める場合は朝比奈、妹 舞鶴(これは架空の人物)として

登場致します。(これは『対面』でも 同じですね)


狂言名題の『正札附根元草摺引』 この名目は何処から来ているのでしょう?


正札と云うのは 皆様ご存知のように 偽りのない!! 所謂 値札。

商札とも書きますが、まぎれもなく良い値打ちの物。 

基本中の基本 曽我物のその根元となす舞踊と云う意味です。



では草摺りとは なんでしょうか?


五郎が血気にはやって 父の敵を討ちに 工藤左衛門祐経の所へ

行こうとするのを 舞鶴が鎧の草摺を持って 引き留めると云うのが 

この踊りの眼目です。



写真をご覧ください。


イメージ 1



この写真は『吉野山』の忠信が背負っている 義経の着せ長(鎧の意)ですが、

『草摺引』の鎧は手に持って 暴れるために小さく作ってあるので あえて

『吉野山』の鎧をお手本にしました。



『草摺』と云うのは この部分。

イメージ 2



この部分を舞鶴が持って引くので 『草摺引』と云う 

舞踊の名前がついております。





余談ですが、この『吉野山』の鎧は 義経の鎧ですから 

頼朝 義経の紋どころ、

「ささりんどう」が あしらってございます。


『草摺引』の鎧には おもだかを逆様にした 逆さおもだかが

あしらってございます。


劇場でもし オペラグラスででもご覧の際は 鎧の違いにもご注目下さい。