昨日 寿猿さんから行燈について ある事を教えて頂きました。

小道具として舞台に置いてある行燈ですが、本来でしたら
生活用品して もっと詳しく 丁寧に扱わなくてはならない
道具でしょうね。


昔は電気や電燈は ありませんから、舞台上できちんと扱うなら
北の方の 私が持って出た蜀台や そこに置いてある火打ち石で
火をつける作業がいる訳です。

(一応 修理之助が出る前から、すでに火は 点いて居る事にはなっておりますが・・・。)


舞台前でお芝居は進行していますし 舞台後ろで私が 色んな事を 
たとえば火をつける作業の 石をカチカチ鳴らしたり していると 
邪魔になりますから 蜀台で行燈に 火を移し替えるような
真似だけを しております。


誰もつけないのに部屋は明るい?


歌舞伎の舞台だと それが許されてしまいます。(笑)


写真は行燈です。



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そして 火をつける為に必要な 道具。


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右には 火打石。  左は火打金。


火打石 二つを打っても なかなか火はつきません と云うより 火花が出ません

火打金と火打石を 打つ事によって 火花が発生します。


イメージ 3



そして 本来はこの黒い箱の左側に おがくずが入っており
飛んだ火花が ここに着火致します。 これを火口(ほくち)と申します。


それから右側の 木片べらに火を移し 行燈の蝋燭 または、油の燈心へ
火を移す訳です。



火をつける作業にこれだけの過程がいる訳ですが、
最近のテレビや映画 お芝居では、簡略化のためか
火打ち石をカツカツ するだけで行燈の灯が 点いてしまう事が多くあります。


実際にやってみますと絶対 火口(ほくち)に
火を着火させてからでないと 火はつきません(笑)


昨日 寿猿さんに「この箱の左側には 本来は何が入っているか、知ってる?」 と聞かれ、
正直 即答が出来ませんでした 。


「本当は これに蓋がついて居て この中身はおがくずで 火口と呼ばれるものだよ」と

教えて頂き 云われれば「あ。!!そうか!!」と云う次第ですが、現在では、ほとんど
使う方もいないでしょうね(笑)


しかし 電気が出来たのも 今からつい100年ほど前、それ以前の長い時代は
こうやって明かりを取っていたのですから、 おろそかにはできません


もしライターや マッチなどがない時に 火をおこす作業を 
今のどれだけの人が御存知でしょうか?


震災や 停電の時などは蝋燭などが 大いに売れたそうですから、
まだまだ 行燈の時代も 危なくなければ 再び来るかもしれませんね。 


幕があく前での 将監と北の方の会話から 今日のブログが生まれました。(笑)