巡業のエピソード と云うか 余談ですが、(笑)
随分昔の巡業で 沼津(確か沼津のはず 違ったらごめんなさい)
に居りました時に 台風が直撃!!

新幹線 JR東海、全列車運転見合わせ 飛行機 その界隈全部欠航!! 

そんなときに限り 私たちの予定は移動日ですが、名古屋までバス移動!!(笑)

普通は 電車で移動なのですが なぜか 初めから 移動はバス。
まさか 台風を想定していたとは 思いませんが・・・なぜか バス。



暴風雨の中 高速を走らず1号線で無事に 名古屋まで着いてしまい
難なく次の日は予定通り公演されました。(笑)

その時 誰云うとなく おもだかや一門の悪運(良運?・・・笑) 




歌舞伎俳優たるや 本当に運が強く こう云ったアクシデントに巻き込まれても
公演はなんとか 続行出来る状態に なってしまうのですよね(笑)


でも お客さまにとっては 中止になるよりは 
ご観劇頂けた方が 良いのですが・・・。



まして、今や 都会だけではなく 地方の今まで行った事のないような場所までも
行けるようになり お芝居が出来るようになりました。


待っていて下さるお客様の為にも やはり 何とか行きたいものです。

途中の移動で 行けなくなるのは 残念以外のなにものでもありません。

一応 私の 長い役者生活、巡業でたどり着けずに 休演になった
そんな公演は 私が行った中ではなかったように思います。

なんとなく うまくいくのが 不思議なもの。





実はもうひとつ 


猿翁旦那が休演を余儀なくされた 8年前の2月の巡業公演。

演目は『一條大蔵譚 曲舞 御殿』他

初日から前半は 東京から西に向かい中日には 九州まで参りました。


ご病気後の復帰公演で弟子一同 心配しておりましたが 段々暖かい気候となり 
旦那も1日1日本当にお元気になられ 舞台も難なくこなされておりました。



ところが一旦 帰京して後半の東北から北海道へ向かう公演では 

段々寒さが増して参りまして 私たちでも体の不調を感じつつ
公演を続けておりました。


そして八戸の公演を終えて 皆 現地のホテルに宿泊しての次の日。 
北海道 札幌の千穐楽を明日に控えた 移動日の日です。



猿翁旦那は八戸空港から 札幌千歳空港へ行かれるはずでした。 


八戸のホテルを発つときには それほどの雪でもなかったのですが、

その時にすでに 北海道はかなり荒れた天気になっていたそうです。


念のため朝早くに 色んな人が千歳空港や欠航便の情報を調べる中
私もネットで調べておりますと テレビの速報の方が早く
千歳空港全面封鎖のニュース速報。


かなり大きな爆弾低気圧!!



急遽 旦那も列車で札幌まで 行かれる事になりました。
 

一座の人たちが 2~3便に別れて 八戸から北海道に向かう列車に乗りました。



しかし昼12時頃に函館に到着すると JR北海道は全列車 
運行を停止されておりました。 

(この情報 JR東日本の函館までの列車の中では
 残念な事に 一切 知らせてくれませんでした。)


函館のお天気はまだ 左程でもなかったのですが、 

札幌へ向かう峠あたりは かなり荒れたお天気だそうでした。


さあ大変です!! 明日は札幌で千穐楽の日。

今日中に札幌に着かない限り 明日の公演は中止になってしまいます。



まして宿泊場所は札幌で 函館ではありません


この時間に急遽 100何人に及ぶ 公演関係者の当日宿泊ができるホテルは
函館にはありませんでした。



とりあえず 駅のそばのホテルの1室を 猿翁旦那と数人が入れるようにし 

私たちはホテルの大広間を 事務局が手配して そこで待機する事になりました。


待つこと およそ4時間。



事務局がなんとか バスを4台チャーターして参り 
1台を旦那と お付きの数人のお弟子たちが乗り 
先に函館を出発いたしました。


そして後の3台に 私たちを含む役者の主だった人たち 長唄さん 竹本さん
裏方さんたち 残りの人たちが分乗して 函館を4時過ぎに出発いたしました。


途中の山道 峠越えは吹雪の待っ只中で 猛烈な風が吹いておりました。



もちろん高速道路は使えず 大雪の狭い山道は バスの運転手さんも慎重で 
さぞ 怖かった事と思います。


おそらく なんでこんな日に函館から札幌まで バスを走らせるんだ!! と

思っておられたに違いありません

事務局もよく この緊急時にバスの会社に 問い合わせをし
そんな天候の中での この強行行程を承諾して貰っての運行を 
お願いしたものだと思います。 

また この会社の方もよく承諾して下さったものだと 今更ながらに 思います。



本当に事故もなく 無事に私たちを札幌のホテルまで輸送して下さいました。


本当に 本当に ありがとうございました。



到着時間は 夜中の11時くらいになっておりましたが 
到着して一同 ホッとしたのを 今でも覚えております。


果たして次の日 札幌は快晴!! 雪は多く残っておりましたが、
無事に2回の公演を終わり、千穐楽の幕が下りたのです。



でもその時には 猿翁旦那 力を使いきっておられました。





千穐楽の2日後 大阪松竹座のスーパー歌舞伎『新・三国志3』のお稽古場に 
旦那が姿を見せる事はありませんでした。




この巡業の話は 色んな思いが交錯して 
どうしても する事の出来なかった話の一つです。




長い8年でしたが、旦那が舞台復帰されて 本当によかったと思いました。

何度も口にはしておりましたが 文章に致しましたのは
初めてだと思います。


ちょっと 今日の文章 いつも以上に 前後左右(笑)しておりましたら
ごめんなさい


いろんな思いが つまっております。